【ジェンダー教育と教師(6)】「誰でも取り組める」ジェンダー教育実践の勧め

宮崎公立大学准教授 寺町晋哉

この連載の一覧

 本連載ではこれまで、学校にはさまざまなジェンダーの課題が存在することを指摘してきました。読者の中には、「じゃあどうすればいいの?」と思われた方もいるかもしれません。拙著『〈教師の人生〉と向き合うジェンダー教育実践』では、ジェンダーの課題を改善していく取り組みを「ジェンダー教育実践」と呼んでいます。今回はジェンダーに特段の関心を持たない方、言い換えれば、「誰でも取り組めるジェンダー教育実践」をご紹介します。

 第2回でも指摘したように、「性別」情報は私たちの他者への働き掛けに影響を与えます。それをできる限り防ぐために、名簿、学校指定の持ち物、靴箱・ロッカー、整列・席配置などから、できるだけ「性別」という情報を取り除く(男女混合にする)ことから始めましょう。空間的にも視覚的にも、「男女を区別する」ことが減少するはずです。学校の環境に関わることなので、学校全体で統一して取り組む方がよいでしょう。

 「明日からロッカーの場所が変わります」となれば、子どもたちも混乱するかもしれないので、新学期や新年度のタイミングで行うとよいでしょう。最初は子どもたちも戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れます。

 トランスジェンダーの存在を考慮すると一概には言えませんが、「着替え」や「宿泊行事のお風呂」など、通常の生活で男女別になっているものまで男女混合にする必要はありません。

 トイレは工夫次第で男女混合にすることも可能です。国際基督教大学の「オールジェンダートイレ」の取り組みを参照してください。拙著では「男女混合の身体測定」も登場します。身体・健康に関する情報は非常にプライバシー性が高く、本人が重大なコンプレックスを持って悩んでいるかもしれません。「同性集団なら身体測定を一緒にしてもいい」ではなく、「一人一人を尊重する」ことに主眼を置き、徹底してプライバシーを守ることで男女混合の身体測定や健康診断も可能になります。

 何の準備も必要なく、「個人で明日からできる」こともあります。先生が子どもたちを「さん」で統一して呼ぶ「呼称の統一」です。「くん」「さん」と子どもたちを呼び分ける場合、その基準となるのは「性別」です。名前を呼ぶ時点で「性別」を判断し、わざわざ呼び分ける必要があります。名前を呼ぶことは、子どもたちへ働き掛けることの出発点です。呼称を統一することで、出発点の「かまえ」が「性別」に左右されることが少なくなります。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集