【GIGAスクールは序章に過ぎない(6)】教育分野のプラットフォーム

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 教育のデータを円滑に利活用するために考えられているのが、「プラットフォーム」である。教育のデジタル化のミッションである「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる」を実現するために、データを有効に活用できるようにした場のことである。乱暴な言い方をすれば、そこに一度アクセスすれば教育関係のコンテンツはなんでも使えるようなサイト、システムといったところだろうか。

 そもそもプラットフォームとは「基盤」「土台」「場」といった意味であるが、多くの教材ソフトの入り口としてのポータルサイトも一つの形であり、データ保存のシステムなどを含めたオンラインプラットフォームも一つの形である。機能もさまざまで、実際にはその概念は幅広い。

 デジタル庁のロードマップでは、現在各省で検討され、実証段階に進もうとしているさまざまなプラットフォームについて、機能別に全体像の整理を試みつつ紹介している。ただし、現時点ではいずれも構想段階か実証段階である。デジタル庁がロードマップと同時に公開している有識者との意見交換概要でも、企業各社からデータの扱い、コンテンツの接続方法、情報や商流のロックインから将来のコストまで、解決すべき課題が幾つも指摘されている。こうして多くの企業が懸念するのは、このプラットフォームは一度導入されると、その企業が長期にわたって容易に市場を独占できるシステムとなる恐れがあるためである。

 実用化に向けて実証を進める各省には、こうした課題の解決も求められている。その際には、これら産業界の懸念を払しょくするためにも、公平性と透明性確保の視点が絶対に欠かせない。完全な公平性は技術的に難しいとしても、それを検討過程の徹底的な透明性で補いながら、国が関係者をけん引して解決すべき課題に取り組んでいくことで十分な納得感を醸成してほしい。逆に透明性のないシステムには説得力がなく、普及も期待できない。教育関係者は「ジャパンeポートフォリオ」や大学入試の民間試験活用を思い起こしてほしい。国が産業界をうまく活用できなかったこれら事例から学ぶべき点は、あまりにも多い。

 案の定、既に各地では、「将来、国の施策に必要となるから」という根拠のない強引な売り込みが始まっているとの話も聞く。実用化が急がれるとともに、学校現場が現時点で導入を考えるのであれば、将来のコスト負担やシステム見直しの可能性を前提に、徹底的に使い尽くす覚悟が必要であろう。

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