【GIGAスクールは序章に過ぎない(7)】データ利活用環境の整備

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 ネットワークや端末などのデータ利活用に必要な環境の整備は、2019年度補正予算から始まった「GIGAスクール構想」による国から自治体などへの補助で、大きく整備が進むこととなった。しかしながら、学校や教育委員会にはICTに関する知見が不足しており、急な環境整備にそもそも何を整備したらよいかも見えない状況であった。

 このため、文科省でも端末や校内整備の標準仕様書を積極的に示すなど異例の形で動いたが、実際の整備は最終的に全国各地の発注者と受注事業者に委ねられた。その結果、予想されていたことではあるが、「全校で1人1台端末をいざ接続してみると回線が遅くてとても実用できない」「その遅い原因も特定が困難」という声が、デジタル庁が実施したアンケートでも多く寄せられた。また、児童生徒の端末は1人1台整備されたものの、教職員の端末や校務のデジタル化までは手が付けられず、結果として現場が混乱し、教職員の事務作業が逆に増えてしまったとの意見も寄せられている。

 これらは今回のロードマップがスコープとしているデジタライゼーションというより、まずはICTを活用しようという入り口段階とも言えるが、このまま放置してはおけないので、これら環境整備の課題と方向性もロードマップにまとめて紹介している。実際、文科省では21年度補正予算で、GIGAスクール運営支援センターの開設やネットワークの点検・応急対応に対する各都道府県への補助を進め、個別対応をより丁寧に行おうとしている。さらに、授業環境高度化推進事業として、指導者用端末等整備への支援も行うなど、各省とも環境整備の穴をふさぐべく、さまざまな施策を講じようとしている。

 今回の整備の結果について別の見方をすれば、各地の受注事業者にどれだけICT活用を見据えた事業力があったのか、仕様書だけを忠実にやるのか発注側と共に環境をつくり上げるのか、各社の技量が示された結果とも言える。

 今後、教育DX化が一般化していくことで、各学校現場では技術の進展に合わせた環境の高度化や老朽化による更新が継続的に必要となってくる。そのため、これからは学校設置者側で、事業者の力量も見極めながら環境整備を推進できる人材の確保・育成がますます重要となってくる。例えば、富山県高岡市では慶應義塾大学の支援の下、安価で快適な通信環境をつくり上げたと聞く。このような例も共有しながら、持続可能な環境整備体制を目指したい。

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