【GIGAスクールは序章に過ぎない(8)】教育データ利活用のルール・ポリシー

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 これまで紹介してきたデジタル庁のロードマップの内容は、流通、プラットフォーム、環境整備などデータ利活用に必要な全体のシステムが中心であった。同じく必要となるのが、そのデータを実際に使う利用者側に立ったルールやポリシーである。

 今回のロードマップでは、基本的な考え方として、文科省有識者会議でまとめられた5つの原則に、社会全体のデジタル化を束ねるデジタル庁の視点から、2020年12月に閣議決定された「デジタル社会を形成するための基本原則」の徹底のほか、UI(ユーザーインターフェース・利用者からの見た目や操作性)やUX(ユーザーエクスペリエンス・利用者が得られる体験)の改善、アジャイル思考(小さな単位でやりながら改善していく、機敏で柔軟な対応)の精神、第2回で紹介したBPRの実施など、デジタル社会で一般的な用語なども取り入れながら、さらに考慮すべき事項を追加している。その上で、ロードマップではより具体的に端末の利活用ガイドラインや情報セキュリティポリシーガイドラインの見直し・改善の方向性、認証や認可などルールが必要となる場面の整理なども示している。

 デジタル社会におけるルールやポリシーとして、難しい問題が個人情報保護である。ロードマップでは教育データの取り扱いが問題となる局面が挙げられているが、その全てが何らかの形で個人情報保護に関係している。

 対応は当然必要であるが、活用を考えないで単にガチガチに「保護」すると、本来利用者が享受できるデータ利活用の利便性までもが失われる。そうなるとICT機器は満足に活用されない、といった悪循環を多く目にしてきた。個人情報保護の権利は広く認識されているが、同様にデータのさまざまな利活用により便益を享受するのも個人の権利である。要はそれらのバランスである。ロードマップでは、バランスを踏まえた基本的な考え方とともに、幾つかの整理の方向性を示している。

 昨年の通常国会では、デジタル社会形成基本法やデジタル庁設置法とともに個人情報保護法の改正が行われた。ここでは国、独立行政法人など、民間事業者、自治体でバラバラであった個人情報保護制度が23年までに、段階的に一元化されることとなる。いわゆる「2000個問題」が解消されるわけで、この大きな動きの中で、デジタル社会における教育データの扱いも整理していく必要がある。

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