【GIGAスクールは序章に過ぎない(9)】学校外とのデータ連携

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 社会全体でデジタル化を進める中、デジタル庁にふさわしい視点は、教育データの学校外との連携である。その一つが、ロードマップで示されている生涯にわたる学びの成果の可視化である。

 教師の視点からすれば、まずは指導要録、内申書といった児童生徒情報のデジタル化であろう。日々の学びからこれらが自動的に作成され、教師が必要な際に必要な場所から容易にアクセスできて、転校や進学の際にはアクセス権の移譲のみで済むということになれば校務の効率化につながる。また、従来以上のさまざまな情報を記録して伝えられるなど、その利便性は高まる。

 個人の学びの視点からすれば、その可能性は格段に広がる。それまでの人生で何を習得してきたか、学びの履歴(ポートフォリオ)として大きな財産となる。学校だけでなく資格取得のデータと連動させ、進学や留学、就職の際、自身の学びの履歴証明として用いることもできる。学習指導要領のナンバリングと連動させれば、転校の際に役立つより詳細な学びの足跡ともなる。以前の回で、データと個人へのアウトプットはその分析検討が緒に就いたばかりと紹介したが、この学びの履歴は、その中でも最も早く実用化が期待できるものではないか。自身の学びの履歴から職業選択の支援を受けるなど、さまざまな未来が広がっている。

 既に国際的にもデジタル資格証明(オープンバッジ)の事例もあり、これらと連携しながら検討されていくものと考えられる。デジタル庁としては、個人のデータの一つとしてベース・レジストリの整備と連携していくことも視野に入れている。ロードマップではこれらも含めつつ、基盤構築の方向性や論点整理を示している。

 ロードマップで示されているもう一つの事例は、主に教育外とのデータ連携による支援が必要な子供のケアである。

 子供たちに関する情報は、教育以外にも保育、福祉、医療などが考えられるが、関係機関だけでも児童相談所、福祉事業所、医療機関など複数あり、ほとんどの自治体でも個別に管理されているようである。そのため、時に支援を必要としている子供へのケアが十分連携されない事例も考えられる。

 さまざまな情報を連携させることで、何らかの支援が必要な子供を行政側が早期に把握できることにつながる。この件は既に小林デジタル副大臣を主査に検討が開始されており、2023年度の創設を目指す「こども家庭庁」の重要な業務につながっていくことであろう。

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