【GIGAスクールは序章に過ぎない(10)】デジタル社会を見据えた教育の転換

理化学研究所経営企画部長・デジタル庁アドバイザー 髙谷浩樹

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 本連載ではこれまで、デジタル庁が示すロードマップの内容を順に紹介してきた。これらを通じ、教育DXのデジタライゼーション、つまりICTをフル活用して学習者主体の教育への転換や教職員が子供たちと向き合う環境に向かって進むこととなる。ロードマップでは国の関連施策の2025年度までの行程表も付けており、産学官あらゆる関係者にとって今後の進展の道しるべとなるものである。

 ただし、デジタルによる教育の進化は、当然それで終わるものではない。ロードマップではその先にあるデジタルトランスフォーメーションに向け、「デジタル社会を見据えた教育」の項目がある。政府内ではさまざまな制度の見直しも視野に入れ、文科省の中教審にとどまらず実にさまざまな議論がなされている。

 その一つとして、ここでは内閣府総合科学技術・イノベーション会議の教育・人材育成ワーキンググループを紹介したい。この検討会では昨年末に「Society5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ<中間まとめ>」を公表した。興味深いのは構成員で、科学技術・イノベーションの委員に加え、中教審、さらに経産省の産業構造審議会の委員が一堂に会している。そのため、このパッケージも幅広い視点からの検討となっている。中間まとめでは、教育・人材育成システムの転換の方向性として、多様性を重視した学び、探求力重視、社会とシームレスなレイヤー構造、子供の主体性などがキーワードして挙げられており、今後の検討が待たれる。

 デジタルやデータ利活用は、学校現場で教職員を多忙にしていた作業の効率化だけでなく、子供たちの個別最適な学びと協働的な学びを技術で容易に実現し、さらには非認知能力の可視化などこれまで想像もしなかったことまで可能とするなど、明治以来の教育スタイルを根本から変える道具となるものである。

 この便利な道具を使って、これからの変動の時代の「生きる力」をどうやって育んでいくのか。ロードマップの最後を締める「今後の進め方」にある通り、関係者のみならず当事者である子供たち、主役の意見を聞きながらさらに検討し、目標を定めて施策を進めていくこととなる。

 皆さまには、このデジタル庁ロードマップにあるような将来のデジタル社会の教育の姿をそれぞれ頭に描きながら、デジタル庁の動きにも関心を寄せていただきつつ、1人1台環境を使いこなしていただけることを願っている。

 (おわり)

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