【1対1のメンタリングで若手育成(5)】実践!1対1メンタリング~授業を一緒に振り返る~

玉虫麻衣子 横浜市立大鳥小学校教諭

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 ここからは1対1メンタリングの具体的実践をコルブの経験学習理論(第4回参照)に沿ってご紹介します。

メンタリングでは、メンティ自身が課題に感じたことに沿って今後の手だてを考えていく

 ①授業実践(具体的経験)

 2年生国語の「書くこと」の単元での実践を紹介します。メンティは普段通りの教材研究をしていました。本時は、前時までに書き出した「自分の好きなもの」の中から一つを選び、「なぜ好きなのか」について、自分なりの理由を書く場面でした。子どもたちの様子を見ると、すらすらと書けている子、手が止まっている子、質問する子などがいて、進み方はそれぞれでした。A教諭は机間巡視をしていましたが、有効な手だてを打てないまま、授業が終わりました。

 メンターは、気付いたことをメモに取りながら授業を見学していました。具体的に、「板書の工夫や発問・簡潔な説明の仕方」「言語活動例(ゴール)の提示の必要」「子どもが教師に注目してから話す」「質問の取り上げ方」など、多くの気付きがありました。

 でも、メンティ自身が課題に感じたことに沿って今後の手だてを考えていくことが、自分自身の気付きにつながると思い、初めから指摘はしないようにしました。一度に多くのことを言われても、全てをすぐに改善するのは若手教師にとって難しく、一つ一つの課題意識も薄まってしまいます。今回取り上げなかった課題は違う場面で気付いてもらおうと考えました。

 ②授業を振り返る(内省的観察)

 メンターが「今日の授業、どうだった?」と聞くと、メンティは「思っていたよりも書けていなかった」と、想定よりも本時の目当てを達成できていない子が多かったことを気にしていました。教師の手だてや教材研究を深めていくためには、具体的な子どもの姿をもとに考えていくことが重要です(鹿毛・藤本2017)。そこで、一人の子どもの具体的な姿に焦点を当てて考えることにしました。そして、「最後にあの子、言ったよね。『好きな理由って、一言でいいんですか?』って。あの発言、どう思った?」とメンティに問い掛けました。するとメンティは少し考え、「どういうことを言ったらいいのか、イメージができていないんだなって。今日は私がどういうふうにするって言ってなかったから、明日は『こういうことを書く』っていう具体的なイメージを持たせてあげないといけないなって思いました」と、子どもの姿から自身の課題に気付き、必要な手だてを考え始めました。

 次回は、この後どのようにメンティが課題を解決していくのかについてお伝えします。

 〈参考文献〉
 鹿毛雅治・藤本和久編著(2017)「授業研究」を創る 教育出版

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