【「部活動問題」の論点整理(1)】部活動が変わる?

青柳健隆 関東学院大学経済学部 准教授

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 今、部活動が大きな転換期を迎えています。これから部活動は、どのように変わっていくのでしょうか。そして、その変化の行き着く先はどのような未来なのでしょうか。日本の教育や社会を少しでも良いものにしたいと思い、本連載では部活動に関わるさまざまな問題点を概観しながら論点を整理し、部活動について共通認識を持ちながら対話ができるようになることを目指します。本紙の主な読者は教育関係の方だと思いますが、それ以外の方にも部活動問題を理解していただけるように書き進めるつもりです。

 ここ10年ほどの間で、部活動に関する議論が活発になってきました。具体的に、部活動における体罰問題、教員の過重労働と働き方改革、部活動のガイドライン、部活動指導員制度、休日の部活動の地域移行などが、いずれも重要なテーマとして登場してきました。部活動で問題とされるテーマを列挙すると、「少子化」「勝利至上主義」「体罰・暴力やハラスメント(パワハラ、セクハラ)」「けが」「バーンアウト(燃え尽き症候群)」「ドロップアウト」「勉強との両立」「セカンドキャリア」「先輩後輩の過度な上下関係」「いじめ」「推薦入試制度」「強制入部」「越境入部」「顧問の過重負担」「ワークライフバランス」「外部指導者」「合同部活動」「地域移行」など、多くのキーワードが浮かんできます。そして、それぞれの当事者によって直面している課題も異なり、なかなか部活動問題の要点がつかみづらいのも事実です。また、部活動に対する思いも多様であるため、在り方や改革の方向性も一方向には定まりづらいものがあります。

 本連載では、部活動にまつわるさまざまな問題の中から、部活動の根本や存続に関わる部分に焦点を絞り、考えてみたいと思います。逆に言えば、一部の部活動や極端な指導者による問題、明らかに悪であると思われる問題については取り上げません。それらは改善の方向性が明確であったり、個別の事情や環境に大きく依存したりするためです。細かく見れば関連し合っている問題もありますが、より俯瞰的な視点で、本質的な部分に迫れればと思っています。

 次回以降、まずは部活動の現状や抱える矛盾について整理し、教員の負担や働き方について検討します。続いて、部活動の意義や役割についてディスカッションします。その後、地域移行の課題について考え、地域移行を成功させるためのアイデアをまとめます。本連載が、部活動の「当たり前」を疑い、問題の核心を明らかにすることに貢献できれば幸いです。

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【プロフィール】

青柳健隆(あおやぎ・けんりゅう) 1987年、秋田県大館市生まれ。関東学院大学経済学部准教授。コーチング科学研究所(RICS)代表。日本学術振興会特別研究員、関東学院大学経済学部専任講師を経て現職。早稲田大学スポーツ科学部卒業、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程および博士後期課程修了。博士(スポーツ科学)。専門はスポーツ教育学。部員のモチベーション、部活動の効果、外部指導者の活用推進方策、顧問の負担とワークライフバランス、指導者養成、パーソナルコーチングのスポーツへの応用など、充実したスポーツ経験づくりとそこから学びを抽出する方法論を主な研究テーマとしている。著書に『部活動の論点:「これから」を考えるためのヒント』(旬報社)などがある。

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