
玉虫麻衣子 横浜市立大鳥小学校教諭
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今回は、1対1メンタリングの4つのプロセスの③「課題解決の方法を見いだす」④「やってみる」の部分をご紹介します。

③課題解決の方法を見いだす(抽象的概念化)
メンティが「子どもに活動の見通しを持たせられなかった」という課題に気付き、解決方法を考え始めています。共感して聞いていると、「こういうふうに書く、っていう例があるといいのかな…」と語り始めました。それを聞いて、①メンティの授業実践(具体的経験)でメンティ自身に気付いてほしいと感じた「言語活動例(ゴール)の提示の必要」と関連させられそうだと考えました。そこで、何となく例を示すのではなく、その手だての有効性と行う上でのポイントをしっかり捉えて実践してほしいと考え、次のように問い掛けることで対話を始めました。
メンター「それがあったら、どんないいことがあるだろう」
メンティ「書き始めにくいなっていう子にとっては、そういうことを書けばいいんだって分かるというか」
メンター「それいいね。じゃあ、デメリットってあるかな」
メンティ「みんな書くことが同じになっちゃうかな。私が例として何を書くかによるんですが、同じような内容を書いちゃわないかなって心配です」
メンター「書く題材について知っていることはそれぞれ違うよね。だから、題材の説明や自分が伝えたいことも違う人はいるよね」
メンティ「例を全部話した方がいいのか、それとも項目を出した方がいいのか…」
メンター「ゴールイメージを持たせた方がいいと思うから、初めに例を出したらいいんじゃないかな。その後、それを分割して使えば、ゴールに向けて今日はこの部分をやるよ、と示せるよね。そうすれば、今言っていたゴールと項目を両方伝えられるんじゃない?」
上記対話後、メンティは、事前に作っていたワークシートを改善する必要に気付き、「例はこんな感じにしようかな」と自分のアイディアをすらすらと話し、具体的な手だてを決めていけました。このように、メンターが整理して方向付けることで、メンティが自ら課題解決方法を選択していきました。
④「やってみる」(能動的実験)
選択した手だての実施に向けて、ワークシートを修正したり、そこにメンティが考えた例を記入して拡大したりして、スムーズに授業準備を行いました。
その後、メンティは用意した例を手だてに用いて授業を実践しました。授業後に、手だての有効性を実感し、新たな課題を自ら見いだしました。
次回はその後の継続的なメンタリングについてご紹介します。