【「部活動問題」の論点整理(3)】部活動が存続できない

青柳健隆 関東学院大学経済学部 准教授

この連載の一覧

 昨今の部活動改革の大きな背景となっているのが教員の過重負担です。今回はその現状をまとめます。

 まず、部活動が教員の仕事か否かという点ですが、これは半分イエスで半分ノーと言えます。勤務時間内(17時頃まで)であれば、校内のそのほかの分掌と同様に校長が命じて担当してもらうことが可能です。しかし、勤務時間後や休日の活動は教員のボランティアであり、自発的に担当しているものと見なされます。勤務時間外や休日について、管理職はむしろ過剰な活動になっていないかを監督し、適正化(抑制)する役割にあります。

 給与についても、公立学校の教員には残業時間に応じた残業代というものが出ていません。その代わりに、一律で(部活動担当の有無やそのほかの分掌にかかわらず)給与月額の4%が上乗せされて支給されています。休日の部活動指導には手当も付きますが、時給に換算すると最低賃金を下回る程度のものです。そのほかに、部活動に関わる物品や経費を顧問教員が自己負担しているケースもあり、経済的に十分にサポートされているわけではありません。

 部活動を現行の教員の勤務ルール内に収めようとすると、かなり部分的な活動(短時間の練習、休日の大会参加なども最小限)にとどめざるを得ないことになります。現実に多くの部活動においてそれをはるかに上回る活動ができているのは、ひとえに教員のおかげと言えるでしょう。

 しかし、働き方改革によって教員の労働時間(残業時間)にも規制が設けられようとしています。現場にはタイムカードが導入され始め、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の改正により、残業時間の上限が月45時間、年間360時間と定められました。教材研究や学校行事、生徒対応、部活動まで含めて年360時間(月平均30時間)となると、勤務時間後に教員が活動できる時間はごくわずかとなり、休日の部活動指導もほとんどできなくなります。本来的には、これらの残業もない方が望ましいのですから。

 これが、今の部活動の実態と教員の働き方のルールとの乖離(かいり)です。現状の働き方のルールにのっとって判断すると、教員が今まで通りのボリュームの部活動を役割として担い続けることはできないと言わざるを得ません。このギャップをどのように埋めていけばよいのでしょうか。部活動をなくせばよいか、学校の外に出せばよいのか、それとも教員を増やせばよいのか、次回以降はどのような選択を取るべきか考えます。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集