【「部活動問題」の論点整理(4)】部活動の原点

青柳健隆 関東学院大学経済学部 准教授

この連載の一覧

 多くの人にとって、部活動はとても身近な存在です。中学校に進学したら部活動に入ることが当たり前だと思っている人も少なくないでしょう。しかし、そもそも部活動とはどのようなものなのか、今回はこの「当たり前」を超えて考えてみたいと思います。

 部活動の始まりは今から100年以上前、明治時代に外国人教師が持ち込んだスポーツ活動が起源であるとされています。最初の頃は少数の学生で行われていた活動が、だんだんと組織化され、今日ではほとんど全ての中学校、高校で行われるものへと発展していきました。草の根的に始まり、だんだんとその規模を拡大していった過程が見て取れます。

 この拡大プロセスを身近にイメージしやすくするため、架空のストーリー(部活動のない世界)に例えてみます。ある生徒がテレビでNBAを見て、「バスケットボールをしたい」と思い立ちました。翌日の放課後に、家にあったボールを持って体育館に行き、1人でシュート練習をしました。慣れてくると少し物足りなくなり、次の日は友達を連れて来て1 on 1をしました。その様子に興味を持ったクラスメートが次の日には加わり、3 on 3になりました。せっかくならオールコートでやりたいと思い、翌日は隣のクラスの友達も誘って5対5のゲームを行いました。その後、学校内で強いメンバーが固定化されてくると、もっと強い相手と戦いたいとの気持ちが湧き、地域のバスケットボール大会に参加しましたが、2回戦で負けてしまいます。負けた悔しさもあり、上達するためにバスケットボールの上手な近所のお兄さんに指導をお願いしました。当初から振り返ると、ずいぶん関わる人も増え、活動が広がってきました。

 さて、いかがだったでしょうか。このストーリーにあるのはとても素直な個人の興味関心の拡大と、仲間が増えていく(組織化されていく)過程です。現在でも、大学のサークル活動や同好会などはこれに近い形で発足し、展開されているように思います。

 部活動はカリキュラムに含まれない課外活動であり、学習指導要領にも「生徒の自主的、自発的な参加により行われる」ものであると示されています。たとえ高度に組織化されていたとしても、根本は生徒の興味関心に基づき、生徒の自由時間に、生徒個人がやりたいことを実現する場であるはずです。それであれば、何も部活動でなくても、一人一人の生徒が自身の興味関心に基づいて放課後の自由時間を謳歌(おうか)すればよいようにも思われます。次回は、部活動を存続させることの意義や価値について考察します。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集