【「部活動問題」の論点整理(5)】部活動の意義とは

青柳健隆 関東学院大学経済学部 准教授

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 部活動のこれからの在り方を議論する際、部活動の意義を理解していることが重要です。どのような役割を担っているのか、どのような効果があるのかを理解していないと、それにどの程度のコストをかけてよいのか、またはなくしてよいのかが判断できないからです。

 部活動の効果に関する研究を見ると、まずは運動部活動の身体面への恩恵が挙げられます。運動やスポーツをする部活動に所属していると、身体機能が向上することには納得感があるでしょう。心理面に関する研究では、例えばレジリエンス(精神的回復力)やストレス対処能力などとの関連が報告されています。

 また、ライフスキル、キャリア形成能力などの社会面との関連や、学習意欲、学業コンピテンス(勉強ができるという感覚)、学校生活への満足感などの学業面とのつながりがありそうだということも示されています。横断的な研究も多いため、部活動への所属が影響するとまで言い切れない部分もありますが、部活動がさまざまな面に好影響を与え得るというのは、指導・運営に携わっている方の実感に近しいものではないでしょうか。

 学習指導要領では、部活動は「学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものである」とされていますし、ほかにも「先輩後輩関係を学ぶ場になる」「礼儀やマナーを身に付けられる」「居場所になる」「興味や好奇心を満たすことができる」「一生の友達ができる」「忘れられない思い出ができる」など、部活動経験のある方であれば、さまざまな良い点を思い浮かべることができると思います。

 ただし、これらの恩恵があるから部活動をやるべきというのはやや早計です。部活動の恩恵と考えられるこれらのことが、部活動特有の恩恵ではない可能性もあるからです。部活動をやっていた人と部活動をやらずにダラダラと過ごしていた人を比較すれば、部活動でさまざまな経験をした人の方が身体面や社会面などに成長が見られるに違いありません。

 しかし、身体面や社会面への恩恵はスポーツクラブでの活動などほかの経験でも得られると考えられますし、組織に属さずに趣味などの個人的な活動に没頭した場合でも、何かしらの成長が期待できるはずです。部活動には非常に長い時間(簡易試算:2.5時間×6日×50週=年間750時間)が費やされています。その時間をほかのことに費やせば、それ相応の成長や成果が得られるでしょう。「では、やはり部活動でなくてもよいのではないか」と言われそうですが、私は部活動の価値はほかにあると考えています。

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