【職員室革命(2)】マインドセット② 労働観をアップデートする

中村浩二 名古屋市立矢田小学校教頭

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 「人口ボーナス期」「人口オーナス期」という言葉をご存じでしょうか。

 人口ボーナス期とは 生産年齢人口が多い期間のことを言います。高齢者が少なく、豊かな労働力に支えられ、経済発展をしやすいとされています。

 しかし、日本はすでに人口オーナス期にあります。人口オーナス期とは 、人口構成の変化が経済にとってマイナスに作用する期間のことを言います。オーナスとは、「重荷、負担」という意味で、働く人よりも支えられる人の割合が多くなることを指します。この時期に経済発展しやすい働き方は、次の通りです。

〇頭脳労働の比率が高く、かつ労働力が足りないので、男女共に働くなど、労働力をフルに活用する。

〇時間当たりの人件費が高騰しているので、なるべく効率良く短時間で働く。

〇均一な物に飽きている市場なので、常に違う価値を短いサイクルで提供する必要があり、そのためになるべく違う条件の人をそろえる。

 人口オーナス期の労働力は常に不足しているので、残業の可否で退職を選択せざるを得ないような労働条件では、その職場は立ち行かなくなってしまいます。さらに、労働する上で育児や介護、疾病や障害などが障壁とならないような労働環境の整備も必要です。

 現在、学校現場では、画一的な一斉授業からの転換が求められており、「個別最適な学び」について模索する動きが広がっています。「多様性を尊重する」「効率を重視する」といった教育観への転換は、人口オーナス期にある社会のニーズを考えれば、自然な流れと捉えることができるでしょう。

 しかし、学校現場では依然として、勤務時間を意識することなく「子どものために」と長時間にわたって働くことをよしとする風潮があるのではないでしょうか。ヒドゥンカリキュラム(隠れたカリキュラム)として、身近に接する子どもたちに誤った労働観を植え付けていないかと危惧しています。

 社会が求める労働観へと教員自身が意識をアップデートし、望ましい「働く姿」を示していくことは、人口オーナス期を生きる子どもたちに、良い影響を与えることと思います。

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