【1対1のメンタリングで若手育成(10)】メンタリングを通したメンティとメンターの変化

玉虫麻衣子 横浜市立大鳥小学校教諭

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 これまで幾つかのメンタリングの事例をご紹介してきましたが、その取り組みは実際にどんな効果をもたらしたのでしょうか。

校外の研究会で授業提案をするメンティ

 現在A教諭(第3回参照)は高学年を担任し、メンターチームのリーダーや特活主任など数々の役割を担い、活躍しています。さらには教育実習生の指導教官も務め、「『メンター側も学ぶことが多い』と話していた玉虫さんの言葉が初めて分かりました」と語っていました。また、若手教員に任せた仕事の進捗(しんちょく)状況を確認したり、苦労している姿を見掛けたときに悩みを打ち明けやすいように自分から声を掛けたりしています。「自分がしてもらってうれしかったことを自分もしたいと思うんです」と語るA教諭に、かつての自分が重なりました。このような思いが、これからもつながっていくといいなと思いました。

 A教諭が語っているように、メンタリングはメンターの内面的な変化も促します。それは、メンティとの関わりの中で、メンター自身が自分を振り返ることにつながるからです。自分も同じような悩みを抱えていたことを思い出して若手の状況を共感的に捉えたり、自分にはないメンティの発想に刺激を受けたり、対話を通して新たな考えが生まれたりすることが、私自身も多々ありました。

 また、メンティにもらった温かい言葉が、私に自信を与えてくれました。何かが特段秀でているわけでもなく、みんなを引っ張るリーダータイプでもない私は、「メンタリングをしてもらえて本当によかった。先輩、こういうの向いていると思います!」と言ってもらえて、どれほどうれしかったことでしょう。

 同時に、気持ちがふっと楽になりました。それ以前は、学年主任を任されると「自分が引っ張らなければ」と過度なプレッシャーを抱えてしまっていましたが、メンタリングを通して一人一人の良さや考え方があることを実感し、「一緒に学年をつくっていこう」と思うようになりました。そして、学年の仲間の意見に耳を傾けたり、信頼して役割を分担したりすることで、自分も以前よりも楽しく働けるようになりました。このように、メンタリングの実践は、若手からベテランまで、職場の働きやすさにつながるのではないかと考えます。

 この4月から、初任1年目の時の教え子が夢をかなえ、教員の道を歩み始めます。教え子をはじめ、若手教員の皆さんが前向きに成長できる職場が広がっていくことを願っています。そのために、自分ができることに一つ一つ丁寧に取り組んでいきたいと思います。

 メンタリングがみんなの働きやすさにつながると信じて…。

 (おわり)

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