【「部活動問題」の論点整理(7)】地域移行の課題

青柳健隆 関東学院大学経済学部 准教授

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 部活動をなくさない(部活動というインフラを保つ)ための一解決策として、部活動の地域移行が模索されています。改革の入り口として進められているのは、休日の部活動を地域に移行することです。学校の働き方改革を踏まえた部活動改革として文科省が進めているもので、想定スケジュールでは2023年度以降に休日の部活動の段階的な地域移行(休日の部活動の指導を望まない教師が部活動に従事しない環境の構築)が全国展開される予定です。

 地域移行の課題は多様です。受け皿となるスポーツ・文化団体や施設は十分にあるのか、指導者はいるのか、休日の学校施設利用は可能か、受益者負担を原則にすると家庭の経済力によってスポーツ・文化的な経験に格差が生まれるのではないか、けがや事故の際の対応や責任の所在、学校(平日)と地域(休日)の連携や情報共有(アレルギー、個人情報、学校行事、進路情報など)はうまくいくのか、休日の部員間のトラブルは誰が対応するのか、学校単位でなくとも出場できる大会の在り方の整備、休日の大会の企画運営は誰が行うのか、教育的な指導がなされるのか等々、問題が山積しています。

 中高に先立ち、小学校では学校部活動を完全に地域(スポーツ少年団)に移行した例があります。その地域で調査をしたところ、教員から見たプラスマイナス双方の変化が抽出されました。活動に関しては「スポーツの掛け持ちがしやすくなった」半面、「開始・終了時間が遅くなった」り、「学校の施設が使えなくなった」などのマイナスの変化がありました。指導・運営に関しては「専門的指導を受ける機会が広がった」一方で、「教育的な配慮が不足している」ことや「学校のことがないがしろになる」ことなどのマイナス面がありました。教員自身に関しては「プライベートの時間が増えた」り、「部活動以外の業務ができるようになった」りした一方で、「生徒指導上の対応が増えた」「学校の教育効果が減った」「(子どもと)信頼関係が築きづらい」「保護者との関係が希薄化した」などのマイナスの変化を感じていました。

 このほかにも、スポーツをする子どもが減ったり、子ども同士のトラブルが増えたり、保護者から学校へのクレームが増えたりと、ネガティブな変化もさまざまなものがあったようです。小学校における完全移行と、中高における休日移行は同等に語れませんが、中高でも起こり得る変化として留意したい点であり、小学校における成功・失敗事例や工夫から学ぶことが重要です。

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