【不登校・苦登校のリアル(4)】不登校の子どもたちの居場所

郷原徹志 NPO法人レイパス代表理事

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 自由な人生を選んでも、常に迷いや不安はあります。他人が敷いてくれたレールの上を走っている方が安心です。そこでレイパスでは、自分の人生を生きる子どもたちを勇気づける取り組みをしています。キーワードは、「対等」「感謝」です。

 レイパスでは、大人も子どもも一人の尊厳ある人間として対等な関係と捉えています。大人が子どもに何かを教えるという、縦の関係ではありません。一緒に学ぶ対等な関係であり、お互いに一人の人間として尊敬を持って接しています。これは、子ども同士も同様です。

 不登校の子どもは、好きなものや得意なものに突き抜けていることがよくあります。そのため、レイパスでは子どもが大人に教えることは、日常的によく見られる光景です。例えば、鳥が大好きな子は、公園や河川敷に行ったときに「あれはダイサギ」「ハクセキレイとセグロセキレイの見分け方は…」などと教えてくれます。教室で鳥の漢字クイズを出題し、周囲を楽しませてくれることもあります。

 対等な関係ですので、褒めたり叱ったりすることはありません。レイパスでは褒めることは、上から他者を評価することだと捉え、控えるようにしています。褒めることの奥には、相手を操作しようとする意図があると考えています。例えば、子どもにもっと勉強させようとする大人のイメージです。

 そうではなく、レイパスでは対等な関係としての感謝があります。子どもが何かをしてくれたら素直に「ありがとう」と伝えます。大人の仕事を手伝ってくれたり、下の学年の子の勉強を見てくれたりしたら、もちろん、「ありがとう。助かった」と伝えます。あるいは、一生懸命勉強することで、教室に集中した雰囲気をつくってくれている子に対しても、「ありがとう」という思いを持っています。

 このような日常を通して、子どもたちには「自分はフリースクールに貢献している」「ここが自分の居場所だ」と感じてもらい、さらには「自分には価値がある」という思いを持ってほしいと思っています。

 さらにもう一つ、大切にしていることがあります。それは競争しないことです。競争によって向上心が湧くのは事実だと思います。しかし、その弊害もまた大きいものがあります。競争では勝ち負けが付き、敗者は劣等感にさいなまれます。それでは安心感を持つことができません。子どもたちがレイパスにいる他者を「仲間」だと感じ、所属感、安心感を持つことを目指しています。

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