【不登校・苦登校のリアル(5)】苦登校

郷原徹志 NPO法人レイパス代表理事

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 本連載の第3回で言及したように、日本財団の調査によると不登校の3倍程度の苦登校(学校へ行くのが嫌でつらい思いをしているにもかかわらず学校へ通う)の子どもたちがいます。

 レイパスが関わっている子の中には、学校へ通いつつレイパスも利用している子もいます。例えば、週3回は学校へ行き、週1回はレイパスに来て、週1回はお休みというような形です。

 なぜ、そのようなペースでの登校になるのか。例を出して考えていきます。小学校の女子児童のケースですが、彼女は「本当は毎日レイパスへ来たい」と言います。レイパスでは彼女の個性を受け入れて関わりますし、学習も完全個別で指導しています。

 一方、学校ではクラスメートから、いじりやからかいが絶えないと言います。加えて授業もあまりよく分からず、面白くないそうです。しかし、家庭の方針でレイパスは週1回と決まっています。やはり学校へ行った方がいいという思想が根強くあるのです。頑張り屋で優しい子なので、親の期待に応えたいとの思いもあるのでしょう。

 いじられて尊厳を傷つけられながら学校へ通うことが、彼女の心にどれほど悪影響を及ぼしているのか心配になります。ある日彼女は、「頑張って英検5級に合格したけど、友達から『5級?』ってばかにされて笑われた」と切ない笑顔で話してくれました。なんとも言えない彼女の表情からも、もっと話しづらいからかいがあるのだろうと想像できます。なお、レイパスでは「人と比べる必要はないし、頑張って5級に合格したのは立派だね」と伝えています。

 教育機会確保法の成立を一つのきっかけとして、社会の認識は変化しています。それでもなお、「学校へ行かなければならない」「学校を休んではならない。休んだとしても復帰しなければならない」と考える人は少なくありません。

 なぜ、そのような考えが社会全体にあるのでしょうか。大きな要因の一つとして、多くの人々が学校へ行くことが将来の自立(就職)につながると考えていることがあります。

 確かに、学校へ行き、勉強して進学し、就職するというレールは存在します。しかし、何らかの能力を伸ばして仕事に就くことは、学校でなくてもできます。学校にこだわるのは、「人の言うことを聞いて、毎日決まった時間に決まった仕事をする」という労働モデルが主だった時代の名残です。

 そのモデルに合わない子が、学校への行きづらさを感じているのだとレイパスでは捉えています。

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