【「部活動問題」の論点整理(10)】部活動の価値を守ろう

青柳健隆 関東学院大学経済学部 准教授

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 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。最終回では、過去9回の話をまとめ、部活動をこれからどうするべきなのかについて話したいと思います。

 端的に申し上げて、現行のままで部活動を存続していくことはできません。それは部活動が教員の無償労働(柔らかく言えばボランティア)によって成立しているからです。昨今の社会情勢や働き方改革の流れからすれば、これまで通り教員が部活動を担当し続けていくことは(今の教職員数、給与や手当、授業時数などを基準とすると)難しいでしょう。

 部活動は子どもにとって意義がありますが、それはあくまでも何もしないことと比較した場合の話でした。同じだけの時間をスポーツクラブで過ごしたり、勉強したり、ほかの活動に費やしたりした場合と比較した意義ではありませんでした。教員の役目は、持てるリソースを使って教育効果を最大化することです。そのために重要なのは部活動かもしれませんし、ほかの教育活動かもしれません。とにかく、学校教育界にあるリソースを使ってベストを尽くすしかないのです(それ以上の成果を日本社会が求めるのであれば、相応の投資が必要です)。

 そもそも部活動は同好の者同士で始まり、拡大してきたものにすぎません。ならば原点に返って、いったんなくしてしまって、やりたい人だけが自主的、自発的にやればよいのではないか、これで部活動問題は全て解決すると言う人もいるかもしれません。

 しかし、部活動にはこれまで長い時間をかけて培ってきた文化、場所、指導者、仲間、予算、ネットワーク、ノウハウ、認知・共通認識など、インフラとも言えるような価値(一朝一夕ではつくれず、つくり上げるまでに多大なコストを要するもの)が備わっています。また、このインフラからは子どもだけではなく教員や学校、保護者、日本社会も恩恵を受けているのです。

 大きなムーブメントとして、部活動の(現状では休日の)地域移行が進められています。ここで生じていることは単なるお金や労力の移動だけではありません。うまく移行しなければ、たくさんの人がこれまで築いてきた部活動というインフラが持つ価値が失われてしまいます。そして、スポーツや文化活動に親しむ子どもたちが減ってしまうでしょう。

 部活動は今まで、学校の先生方に支えてもらっていました。指導・運営の手伝いかもしれません。活動に対する支出かもしれません。税金の使い道への理解かもしれません。部活動の価値を、これからはみんなで守っていきませんか?

 (おわり)

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