【学校と法律をつなぐ(1)】スクールロイヤーってどんな弁護士?

神内 聡 弁護士・兵庫教育大学大学院准教授

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 皆さんは「スクールロイヤー」という言葉を聞いて、どのような弁護士を想像するでしょうか。

 学校に関係する弁護士であることは誰もが想像すると思いますが、もしかすると「子どもや保護者が学校で困ったことがあったら相談してくれる弁護士」を想像するかもしれません。しかし、実際のスクールロイヤーは子どもや保護者が相談できる弁護士ではなく、学校や教育委員会などが相談する弁護士です。

 では、スクールロイヤーは「学校の味方」なのかというと、必ずしもそうではありません。例えば、学校がいじめを隠蔽(いんぺい)しようとしたら、スクールロイヤーはまず間違いなく「それは間違っています」と学校に指摘します。その一方で、子どもと保護者で意見が異なる場合、スクールロイヤーは子どもの側に立って判断します。つまり、スクールロイヤーは「子どものために学校に助言する弁護士」なのです。

 日本弁護士連合会が示しているスクールロイヤーの特徴には、①子どもの最善の利益の観点から継続的に学校に助言する②トラブルが予想される初期段階から関わる③法律だけでなく、教育や福祉、子どもの権利などの視点を取り入れながら活動する――といった点があります。一方で、文科省が示しているスクールロイヤーには学校の代理人として保護者との面会に立ち会う業務なども含まれているため、「学校の味方」という性格が強く表れているかもしれません。このように、一口に「スクールロイヤー」と言っても、理解の仕方はさまざまなのです。

 私はスクールロイヤーとして活動する傍ら、教師として学校現場に関わり、また研究者としてスクールロイヤーをはじめとする外部の専門家が学校にもたらす影響を研究しています。実はスクールロイヤーのように子どもの立場に立って学校の法律相談を担当する弁護士はここ数年で急増しており、全国の教育委員会や学校法人で導入が進んでいます。

 しかし、私のようにスクールロイヤーとして活動しながら、教師として日常的に学校現場で子どもたちと接する弁護士はまだほとんどいません。「子どものために学校に助言する弁護士」と言っても、実際に学校に来て子どもたちの前に姿を見せるスクールロイヤーはほとんどいないのです。また、スクールロイヤーに関する研究も実態と大きく懸け離れていたり、不正確な情報に基づいていたりするものが少なくありません。

 この連載ではスクールロイヤーという弁護士の実態を紹介しながら、学校が抱えるさまざまな法的問題について考えていきたいと思います。

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【プロフィール】

神内聡(じんない・あきら)1978年香川県生まれ。東京大学法学部政治コース卒業。同大大学院教育学研究科修了。専修教員免許状保有。日本で初めての弁護士資格を持つ社会科教師として中高一貫校で勤務し、クラス担任や部活動顧問などを担当する一方(現在は非常勤で勤務)、学校現場に精通した弁護士として各地の学校のスクールロイヤーなどを担当している。2020年から教職大学院でも勤務し、チーム学校、教育制度、教師文化、市民性教育などの研究活動を行っている。著書に『学校弁護士』(角川新書)、『スクールロイヤー』(日本加除出版)、『大人になるってどういうこと?』(くもん出版)など。

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