
髙橋朋彦 千葉県公立小学校教諭
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学校で多くの時間を占めているのが「授業」です。私は若手の頃、「良い授業をしなければ!」と思い、板書計画を立てたり、発問計画を作ったり、プリントを作成したりと、細かいところまで全てが行き届くよう、眠い目をこすりながら徹夜で授業づくりをしていました。でも、いざ迎えた授業では立てた計画通りに進まず、うまくいかないことばかりでした。
そんな私の行き着いた結論が、「授業づくりに時間をかけ過ぎても成果にはつながらない」ということです。そうした結論に至った私は現在、①授業のポイントを絞る②子どもとのやりとりを大切にする③授業の振り返り――の3つを大切にしています。
①の「授業のポイントを絞る」では、多くても3つまでのポイントに絞るようにしています。1回の授業で教えなければならないものはそんなに多くありません。私は、学習指導要領に書かれた「キーワード」や指導書に書かれた「めあて」などを押さえる程度にしています。1教科5分程度の教材研究になります。
②の「子どもとのやりとりを大切にする」は、授業計画を細かいところまで作らないということです。私は若手の頃、セリフを全て台本に書き出していましたが、計画通りに進められないケースがほとんどでした。
そこで現在は、子どもとのやりとりを大切にして授業を進めるようにしています。そうすることで、子どもの様子を見たり意見を尊重したりしながら授業ができるようになってきました。多くの時間を取られていた台本づくりがなくなったおかげで、大きな時間短縮にもなりました。
最も授業改善につながったのは、③の「授業の振り返り」です。1日5分だけ、「これがよかった」「こうすればよかった」の2つの視点で授業を振り返り、メモをしました。うまくいったことは授業に取り入れ、うまくいかなかったことは授業で行わないことにしました。そうして小さな授業改善を長年続けることで、大きな授業改善につながったと感じます。
私は「授業づくりに時間をかけ過ぎても成果にはつながらない」というマインドセットの下、業務改善を心掛けてきました。とはいえ、成果の上がる授業にするためには、長い年月が必要です。ポイントを絞り、子どもとのやりとりを大切にする授業を心掛け、短い時間の振り返りを積み重ねて授業改善に努める。そうして少しずつ成長し続けることが、成果の上がる授業につながっていくのだと考えています。