
髙橋朋彦 千葉県公立小学校教諭
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「良い学級をつくりたい!」
教員であれば、どなたもそう考えたことがあるのではないでしょうか。当然、私もその一人でした。私は若手の頃、教師が手を掛ければ掛けるほど良い学級ができるものだと思っていました。しかし、そう思って労力と時間をかけていたものの、なかなか学級が良くなることはありませんでした。
そんな私は今、「子どもに任せる」ことを心掛けて学級づくりをしています。
「子どもに任せる」ならば、労力と時間をかけない方がよいこともあります。例えば、朝の会。以前の私は朝の会が始まる前、子どもに席に着くよう呼び掛けていました。席に着いてもざわついていたら「静かにしましょう」と声を掛け、静かになってから「日直さんお願いします」と言っていました。つまり、私が声を掛けて日直が朝の会を始めるというやりとりで、1年間を過ごしてきたのです。その結果、教師は何から何までしなければいけないのでヘトヘト、逆に子どもは教師がいなければ何もできない状態になってしまいました。
「子どもに任せる」といっても、うまくいかないことはあります。そんなときは、「どうしたらうまくいくかな?」と子どもたちに投げ掛け、話し合わせます。例えば、朝の会の進行がうまくいかないときにそう投げ掛けると、「時間を見て行動しよう」「みんなで声掛けをしよう」「声を掛けられたらすぐ動こう」などのアイデアが子どもたちから出てきます。そうしたアイデアを画用紙に書いて黒板に貼っておくと、子どもは自分たちで決めたことなので、責任を持って行動に移せるようになります。その姿を見て、私は「すごい!自分たちで解決できたね!」と喜ぶようにしています。
以前は私がいくら呼び掛けてもうまくいかなかったことも、子どもたちに任せることで、自分たちで改善できるように成長できたのです。
とはいえ、いきなり子どもだけに任せてもうまくいくことはありません。子どもに任せるために、私は「話し合う方法を丁寧に教えること」「子ども同士の人間関係づくりをすること」「教師が徐々に姿を消すこと」を大切にしています。
年度初めは任せてもなかなかできません。なので、教師が介入することも多いことでしょう。しかし、教師がこれら3つを意識することで子どもは成長し、任せられるようになっていきます。そうして教師が労力と時間をかけない方が、子どもが大きく成長できるようになるのです。