
髙橋朋彦 千葉県公立小学校教諭
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学校の仕事で一番時間がかかるものは、「宿題チェック」であると私は考えています。そして、宿題チェックにかける時間を減らすことが、宿題の成果を上げることにつながると考えています。
私が若手の頃は、宿題チェックに多くの時間が取られていました。例えば計算ドリルの宿題を出すと、教師は提出された全員分の宿題の丸付けをすることになります。また、休み時間は問題を間違えた子を呼び出し、間違い直しをさせます。そうして気が付けば、宿題のチェックだけで一日が終わってしまっていました。そうしてかけた労力が学力向上につながっていればいいのですが、成果はあまり見られませんでした。
成果が上がらないのにやらなければならない。そんな葛藤を長年抱えてきた私が行き着いた答えは、「子どもに学習の仕方を教える」です。具体的には、「学びの5ステップ」という方法を子どもに教えています。
①問題を解く
②丸付け(間違い探し)をする
③間違い直し(分析)をする
④もう一度間違えた問題を解く
⑤もう一度全部の問題を解く
年度初めの段階で子どもが取り組んだことがあるのは、多くの場合①か②までです。時々、③まで取り組んでいる子もいますが、④と⑤まで取り組んだことのある子はほとんどいません。
私は、④まで取り組んで初めて学力が定着すると考えています。そのため、①?④を1セットにして宿題に取り組ませています。さらに後日、しばらくたってから⑤の「もう一度全部の問題を解く」をさせています。
初めのうち、この方法で取り組める子は半分程度しかいません。しかし、この方法で取り組んでいる子たちはテストの点数が上がります。その子に、テストの点数が上がった理由を全体の前で聞くと、必ず「学びの5ステップのおかげです」と答えます。このやりとりを聞くことで、学びの5ステップに前向きに取り組める子が少しずつ増えていきます。
このやりとりを続けることで、年度末にはほとんどの子が学びの5ステップで取り組み、自分で力を伸ばせるようになります。そして、学びの5ステップが定着すると、教師の宿題チェックはきちんと取り組めているか確認するだけになります。その結果、教師には時間が生まれます。そうしてできた時間で学習の苦手な子に寄り添ったり、子どもと一緒に遊んだり、ゆとりを持って行動したりできるようになり、より良い教育につながると感じています。