【プロティアン・キャリア教育 (1)】「プロティアン・キャリア」とは

内田雅和 三田国際学園中学校・高等学校 中学教頭

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 社会は急激に変化しています。環境の変化、雇用の多様化・流動化、さらには誰もが想定していなかった新型コロナの感染拡大により、私たちはこれまでの「生き方」や「働き方」と向き合うことになりました。こうした社会の急速な変化に、教育現場も対応を求められています。変化に柔軟に対応しながら、自ら主体的にキャリアを形成していく次世代の育成が要請されているのです。

 私はこれまで教員として18年間、複数の学校でキャリア教育を担当してきました。教員になる前は民間企業に勤め、高校生の進学支援・キャリア支援のサポートを業務とし、さまざまな学校の教員・高校生と交流してきました。こうした経験から、生徒一人一人が「自分らしい生き方」と向き合うことができるようになるための「キャリア理論」に基づく「キャリア教育」が必要であると痛感しました。そこで米国CCE.Inc認定のキャリアカウンセラー資格を取得し、キャリアを「生き方」と「働き方」から捉えるキャリア教育の推進に取り組んできました。

 「キャリア教育」という用語が、1999年の中教審の答申で使われてから20年以上の月日がたち、「キャリア教育」の認知度は高まりました。しかし「キャリア教育」は多くの問題を抱えています。第一に、キャリア教育を職業体験というように限定的に捉えることで、職業観の形成を目的にされてしまっていることが挙げられます。

 キャリア教育として重きを置くべきは、職業に関する知識の習得だけではありません。生徒一人一人が、これからの自分の人生の生き方のヒントをつかむ機会とすべきです。

 本連載では10回にわたり、変化の激しい時代に必要とされる「キャリア教育」の教育現場における実践について、話をしていきます。変化の激しい時代において、さまざまな「キャリア理論」がある中で、注目したのは米国のダグラス・ホール教授によって提唱された「プロティアン・キャリア」です。

 「プロティアン」という言葉の語源はギリシャ神話に出てくる神・プロテウスです。プロテウスは、自らの意思で変幻自在に姿を変えることができます。その神の化身とキャリアを掛け合わせた概念が、「プロティアン・キャリア」で、社会や環境の変化に適応しながら、自らを柔軟に変えていく変幻自在なキャリアを意味します。変化の激しい時代に、中高生が変化に適合し、しなやかに生き抜くためのキャリア理論についてお伝えしていきたいと思います。

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【プロフィール】

内田雅和(うちだ・まさかず) 三田国際学園中学校・高等学校の中学教頭。1976年生まれ。大学卒業後、株式会社リクルート学びDC・高校生でキャリアをスタート。高校生の進路選択に必要な情報を提供する業務に取り組み、その後複数の私立学校でキャリア教育担当を経験。2014年より戸板女子中学校・高等学校に入職。15年より校名変更・共学化の改革に尽力し、20年より現職。一貫して教育とキャリアに関わる仕事に従事し、日本におけるプロティアン・キャリア教育推進を目指す。著書(田中研之輔・法政大学キャリアデザイン学部教授との共著)に『プロティアン教育:三田国際学園のキャリアエスノグラフィー』(株式会社キャリアナレッジ)がある。21年法政大学大学院キャリアデザイン学部研究科修士課程修了/一般社団法人プロティアン・キャリア協会アンバサダー就任。

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