【プロティアン・キャリア教育 (2)】「関係性アプローチ」とは

内田雅和 三田国際学園中学校・高等学校 中学教頭

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 21世紀は変化の激しい時代です。そうした時代の中で、教育も大きく変わらなければなりません。予測不能なVUCA時代では、組織と個人の関係性も変わる必要があります。ダグラス・ホールは「プロティアン・キャリア」の理論において、人と関わることで学び合う「関係性アプローチ」を主張しています。

 これまでの一般的な組織においては、上司が部下を指導し、個人が成長するということが当たり前とされてきました。学校においても、教師が生徒を指導するのが当たり前とされてきたのではないでしょうか。関係性アプローチでは相互に学び合い、成長することが重要だとされています。主従関係や上下関係にとらわれず、人との関わりが個人のキャリアに影響を与えるということです。依存的ではなく、独立的でもない、相互依存的な人間関係の中で学び続けることによって、「変幻自在なキャリア(プロティアン)」を築いていくことができるのです。

 これからの時代は、正解のない「問い」を自分で見つけ、自分で答えを導き出す必要があります。組織に自分のキャリアを委ねないための教育が必要です。勤務校で関係性アプローチを生徒に繰り返し伝え続けていたところ、以前、生徒から次のようなメール(抜粋)が届きました。

 「先生がいつも私たちを、上下関係ではなく対等な人間として見てくださっていたように、『対等だけれども尊敬し合う関係』が大切だと思っています」

 関係性アプローチを理解した生徒は、依存することなく、自律して将来のキャリアを考えられるようになっていくものです。次の文章は、先ほどのメールをくれた生徒が、卒業前に実施したキャリアに関するアンケートに書いたコメントです。

 「今は、個人の心と体の健康と、各地域や経済状況下の生活と、未来を見据えた地球の環境にとって持続可能な食の在り方を考えていきたい。結論として自分が将来何をしているかは分からないが、自分が好きなことや興味のあることの先にある問題を研究しながら、自分が進むべき道を開拓していきたい」

 「プロティアン・キャリア」においては、個人のキャリアは組織に左右されるものでなく、自分が歩みたいキャリアを形成していくことが重要です。終身雇用も崩壊しつつあり、一つの組織でキャリアを終えることは難しい時代です。そのため、自分がどのようなキャリアを歩みたいのかを理解する必要があります。

 次回は、自分のキャリアを理解するためのプロティアンのコンピテンシーについてお伝えします。

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