【コレ!から始めるプログラミング教育 (1)】プログラミング教育の狙い

岡田哲郎 キッズ・プログラミング教室KIDSPRO 代表

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 プログラミング教育により「論理的思考力」が養われることは、広く知られている。

 プログラミングを始めたばかりの頃は、作りたいゲームのアイデアが頭の中にあっても、そのアイデアを思い通りにプログラミングできない。しばらくすると自分のアイデアを細分化して考えられるようになり、例えば、「プレーヤーをマウスで操作する」「敵キャラが追い掛けてくる」などの単体の機能は、すぐにプログラミングできるようになる。

 しかし、細分化された機能を統合してゲームとして成立させるプログラミングは、少しハードルが高くなる。論理的で正しいシーケンス(処理順序)が必要となるからだ。例えば、敵キャラにぶつかるとプレーヤーのライフが1だけ減るようにしたいとき、ぶつかったときのプレーヤーや敵キャラのプログラムのシーケンスが間違っていると、ライフが減り続けたり、ライフが減らなかったりといったバグが発生してしまう。

 このようなバグをなくそうと試行錯誤を繰り返し、思い通りのゲームを完成させようとする過程で「問題解決力」や「論理的思考力」が身に付くのだ。

 ただ、プログラミングによって培われた「論理的思考力」は、社会生活でも活用するようになるのだろうか。私自身を振り返ってみると、もちろんデジタルコンテンツを作るときには役立っているが、残念ながら物事を論理的に考えるようになったとは断言できない。

 私は「論理的思考力」以外にも、プログラミング教育によって得られる効果はあると考えている。それは、ゲームなどのソフトウエア(無形物)を作ったという経験だ。将来もし、デジタル系のコンテンツやソフトウエアなどのアイデアが生まれたとき、ソフトウエアを作った経験がなければ、そのアイデアを形にしようとする人はまれだろう。例えは大きくなるが、Google、Amazon、Facebookなどの新しいデジタルコンテンツを生み出した会社の創設者は、幼少期からプログラミングに熱中している。自分の考えたゲームなどをプログラミングで形にしたという経験や自信は、将来的にデジタル系のコンテンツやシステムなどを開発しよう思ったとき、背中を押してくれるだろう。ソフトウエアを「使いこなす」のは当たり前で、「創る」力が必要とされる時代が来ている。

 しかし、私自身はプログラミング教育による効果はあまり気にしていない。ゲームやアニメーションなどを作りたいという子供たちに、それを作る上で必要な知識や技術を与えることに注力しているだけだ。何より子供たちの探究心を満たすことが重要だと思っている。

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【プロフィール】

岡田哲郎(おかだ・てつろう) 大学および大学院でニューラルネットワークによるNP完全問題の解法の研究を行う。その後、大手電機メーカーに入社し、海外および国内向け携帯電話システムの拡販構築プロジェクトに携わり、2000~2003年はイギリスに駐在する。プログラミング教室KIDSPROを荒川区に開校。自身が開発した「小学校プログラミング教育(学習要領)が学べるeラーニング」が2020年度日本e-Learning大賞でGIGAスクール特別部門賞を受賞。

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