【プロティアン・キャリア教育 (4)】「アイデンティティー」とは

【プロティアン・キャリア教育 (4)】「アイデンティティー」とは
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 社会の長寿化に伴い、今の中高生は「人生100年時代」を生き抜く必要があります。昨今では70歳までの雇用確保が企業の努力義務となり、人々の働く年数は延び続けています。そのため、自分の将来を見据えて、高いモチベーションで働き続けることが求められます。

 プロティアン・キャリアにおいて、モチベーションを維持するために必要なコンピテンシーが「アイデンティティー」です。アイデンティティーとは、「自分とは何者であるのか」ということです。自分の価値観や興味などにどれだけ気付き、それを自身の経験とこれからに結び付けられているかです。アイデンティティーをきちんと把握しておくことによって、自分自身を時代の変化に合わせられるようになれます。

 勤務校では、生徒がこれからの社会で活躍するには、中高時代の6年間でアイデンティティーを確立することが重要だと考え、キャリア教育において生徒自身が主体的にアイデンティティーを深めていくことを大きな柱としています。

 具体的なキャリア教育のスタートとなるのは、中学1年4月の合宿です。この合宿ではグループコーチングを実施します。対話によって相手の自己実現や目標達成をサポートするコーチングの技法を活用します。グループコーチングが始まると、クラスメートがコーチとなります。上下関係ではない、横の関係を意識したコーチ役に対し、自分の過去・現在・未来を語り、学園生活や将来の目標を話すことで、自分のアイデンティティーと向き合うことになります。次のコメントは、合宿後に生徒が書いたリフレクションです。

 「今後、ますます医療技術が発達していくであろう日本の未来。だが発展途上国の中には日本では当たり前の衛生環境や人・物・資金が整わず、治るはずの病で命を落とす人がいる。私は、そんな人々を救うための医師になりたい。そのためには、さまざまな国から来た人とコミュニケーションを取り、知識を誰よりもつけたい。向上心を持ち、諦めずに学び続けることを誓う」

 生徒は、過去の自分、現在の自分、未来の自分が連続していることを理解することで、アイデンティティーが育まれていきます。アイデンティティーの確立には、学校でのキャリア教育だけでなく、日常から自分の人生・キャリアと向き合う時間が必要になってくるのです。合宿でのコーチングをきっかけに、生徒には自分のキャリアと向き合うよう繰り返し伝えていきます。

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