【プロティアン・キャリア教育 (5)】アダプタビリティとは

内田雅和 三田国際学園中学校・高等学校 中学教頭

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 新型コロナウイルスの流行によって、日本の多くの企業が打撃を受けました。2021年に早期・希望退職の募集を開示した上場企業は84社です。2年連続の80社超えは、リーマン・ショック後の09年・10年以来、11年ぶりとのことです。

 しかし、景気が厳しい時代においても売り上げを伸ばす企業はありますし、転職市場で評価の高い人もいます。どんな時代、状況の中でも、市場や組織から求められるような人材になることが、プロティアン・キャリアが求める「アダプタビリティ」です。

 社会で必要とされる普遍的なアダプタビリティを身に付けることは重要です。そうした中、勤務校では生徒に身に付けてほしいコンピテンシーとして「共創」「問題解決能力」「リーダーシップ」「コミュニケーション」「社会参画」「革新性」「異文化理解」「創造性」「責任感」「探究心」「率先」「生産性」を掲げてきました。

 現在はこれらのコンピテンシーを重視することが、世界的な潮流となっています。「どれだけ学んだか」という知識を重視するのではなく、「どんな力を獲得したか」という教育です。社会の変化に対応できるようになるため、学ぶべきは知識ではなく、「学びを学ぶ」姿勢です。生涯学び続け、生涯変化し続ける力を手にすることで、アダプタビリティを手にすることができるのです。

 そのためには、教師が学びの全てを担うのではなく、さまざまな外部の団体などと協働し、学習活動を拡張していく必要があります。中学・高校と企業の双方の現状を理解した上で、協働学習の機会を設定している企業やNPO団体も多く存在します。次のコメントは、勤務校でさまざまな団体と相互依存的に学びを経験した生徒が、卒業時に自分の将来のキャリアについて記述したコメントです。

 「最近考えることは、ある意味当たり前で誰もが思っていることなのだけれど、『誰かのために何をしなくちゃいけないか』と逆算して道を決めるよりも、『自分にできること』『自分が続けられること』『自分が好きなこと』を極めていった道の先にこそ、自分にできる最大限の貢献や可能性があるんだろうなということだ。ただ、それは本能に従って楽に自分だけが楽しめればよい人生とは違って、三田で世界をクリティカルに見てアクションにつながる力を得たからこそ、自分のしていることの先で何ができるかを探りながら訪れたチャンスに何度もトライし続ける人生にしたいと思う」

 自分のアイデンティティーの確立と同時に、市場や組織から求められるアダプタビリティの獲得を意識できることが理想的です。

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