【プロティアン・キャリア教育 (6)】プロティアン・キャリアに基づくキャリア教育の実践

内田雅和 三田国際学園中学校・高等学校 中学教頭

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 21世紀の社会で活躍するためには、伝統的なキャリアの概念に縛られないことが重要です。有名大学に進学することや有名企業に就職することなど、安定した組織に所属することを目的としたキャリアでは、変化の激しい時代の中で変化に適合し、しなやかに生き抜くことはできません。既存の組織に縛られることなく、自らの道を自分で切り開いていくことが、これからの社会では必要です。

 勤務校のキャリア教育は、「自己理解」「職業研究」「学問研究」の3つのステップを通じて、生徒自身が「自ら進む道を選択する」ようにデザインされています。高校ではそれぞれが個人のアイデンティティーに基づき学問を探究し、将来のビジョンをデザインしていきます。

 中学1年生の「自己理解」、中学2年生の「職業研究」、中学3年生の「学問研究」と、それぞれの学年で総合学習の大きなテーマがあります。テーマはそれぞれ独立したものではありません。自己理解を深めていくために過去の自分を振り返り、どんな職業に興味を持ったのか、どんな教科の勉強に興味を持ったのかと自分に問い掛けます。自己理解を深めることは、職業研究・学問研究を深めることになるのです。同様に、職業研究を深めていくことで自分が興味を持つ職業は何なのかを考えることは、自己理解を深めていくことにつながります。

 また、目標とする職業に就くためにどんなことを学ばなければならないのかを知ること、職業研究を深めていくことは自己理解につながり、学問研究ともつながっていきます。そして、探究する学問を追究していくことは、やはり自己理解につながり、探究する学問のその先に、目標とする職業は何かという職業理解へつながっていくのです。下記は本校生徒が卒業時に三田でのキャリア教育について記述したコメントです。

 「中学3年間のテーマは、自分の将来像を描くに当たって大きな影響を与えたと考えている。自分のそれまでの人生を振り返ることで、短いなりにもいろいろな経験をしたことで今の自分がある、ということを認識することができ、それをもとに自分に適切な職業は何だろうと考えることができた。そしてその職業に就くに当たって学ぶ必要のある学問についての研究、と今思うと非常に理にかなった流れだなと思う」

 中学校時代の3年間、それぞれのテーマで自分に問い掛けることによって、本校の生徒は自分のアイデンティティーと向き合っていくのです。

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