【不安の予防教育プログラム「勇者の旅」(8)】「勇者の旅」プログラムで子どもたちが学ぶこと①

浦尾悠子 千葉大学子どものこころの発達教育研究センター・特任講師

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 前回は、「勇者の旅」の授業で大切にしたいことについてのお話をしましたが、今回からは、各ステージで子どもたちが学ぶ内容について、2回に分けてご説明したいと思います。

「勇者の旅」ワークブック「ステージ3」より抜粋


 まずステージ1では、喜び、悲しみ、不安、怒りという4つの基本感情(それぞれの感情の果たす役割や、ネガティブな感情との付き合い方など)について、自分の体験と絡めて振り返ります。また、「ポジティブな感情に気付きを向けることの重要性」についても触れ、普段見過ごしがちな「喜び」や「達成感」といった気持ちに目を向ける「自主トレ」にも取り組みます(「勇者の旅」では、ホームワークのことを「自主トレ」と呼んでいます)。

 ステージ2では、不安感情にフォーカスを当てます。不安感情の持つ役割を再確認し、「不安はゼロにする必要はない」ことを共有した上で、不安が過剰になって困りごとに発展しないためにはどうすればよいかを、これから学んでいくことを伝えます。その後、自分がどんな場面で不安になりやすいかを考えたり、その時々の不安の大きさを数値で表すことを学んだりして、旅の目標を設定します。

 ステージ3では、心身相関(こころと体はつながっている)について学びます(図参照)。不安を感じるときには、交感神経が優位になるために身体反応が生じることを共有し、実際に危険な状況でないならば、副交感神経が優位となる状態を意図的につくり出す、つまりリラックスすることが有用であると学びます。その上で、不安場面で手軽にできるリラックス法として呼吸法や漸進的筋弛緩(しかん)法を紹介し、皆で練習します。

 ステージ4では、不安場面で取りがちな行動(回避行動)に焦点を当て、不安なことに少しずつ近づくための「勇者の階段」のつくり方を学びます。「不安場面で、実際には危険が迫っていないにもかかわらず、回避行動を続けてしまうと、不安は小さくならない」ことを共有し、少しずつ段階的に近づくことで小さくできる不安もあることを伝えます。なお、「勇者の階段」は全員がつくりますが、階段を上るかどうかは本人の自主性に任せられます。

 以上が「勇者の旅」前半部分のおおまかな内容です。子どもたちからは、「不安な気持ちは大切だと分かった」「呼吸リラックスをやってみたら、不安が小さくなってよかった」「勇者の階段を1段ずつ上っていったら、苦手だったことが苦手じゃなくなってうれしい」などの感想が寄せられています。

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