【プロティアン・キャリア教育 (9)】外部団体「じぶん未来クラブ」との連携

内田雅和 三田国際学園中学校・高等学校 中学教頭

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 企業をはじめとする社会と学校が連携した教育の必要性は、「総合的な学習の時間」が導入された2000年代前半から叫ばれ続けています。連携において大切なことは、ダグラス・ホールが組織と個人の関係を「関係性アプローチ」で従来の上下関係から脱却するよう主張したように、企業と学校の関係も対等であることが大事です。

 プロティアン・キャリアにおけるキャリア形成の軸となる2つのコンピテンシーである「アイデンティティー」と「アダプタビリティ」を中学生や高校生に意識させるためには、仕事にやりがいを感じ、没頭できている人と出会い、2つのコンピテンシーを学ぶ機会をバランス良く設定することが重要です。

 社会で活躍する企業と中高生をつなぐことを目標とした「じぶん未来クラブ」というNPOがあります。次代を担う子どもたちが出会い・学ぶ新たな場づくりを目指して設立され、2013年からは中高生のキャリア教育支援として「シゴトのチカラ」を始めました。

 このプロジェクトは、企業研修の知識豊富なスタッフが企業の社員に、中高生向けのキャリア授業プログラムを企画・実施してもらうプロジェクト型の研修です。企業側には社員に対する研修、学校側には生徒に対するキャリア授業を提供します。「じぶん未来クラブ」が企業と学校の橋渡しをすることで、学校と企業のどちらも大きな利益が得られます。

 学校側からすれば、社会に対する知識が不十分な中高生に、会社が存在していることの社会的意義や、その業界で大切にされていることへの理解を促し、自らのキャリアを考える上で大きなプラスになっていきます。企業側からすれば、それぞれの「渾身(こんしん)の仕事」を企業内で共有し、高校生へのプレゼンテーション内容を練り上げていく過程で、社員たちが仕事の意味を再認識し、自分の根本を見つめ直せます。

 下記は、プログラム後に生徒が書いたリフレクションの抜粋です。

 「話を聞いてみて、『働く』とは周りの人も気遣いながら、自分の幸せのために仕事をするのかなと感じました。今の自分の言動が自分の人生を決めるのだなと改めて感じました。たくさんの人や時間、労力を費やして準備したことが分かるすてきなプログラムでした」

 本校では、さまざまなNPOや企業と協働して、キャリア教育を推進しています。社会と学校が連携するキャリア教育のメリットは、中高生にだけあるものではありません。中高生に自分のキャリアを伝える社会人にも、大きなメリットがあることの認知を広げていく必要があります。

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