【いじめに向き合う学校(1)】学校でも保護者でもなく、子どもの味方

森田志歩 特定非営利活動法人Protect Children~えいえん乃えがお~代表

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 元を正せば私は、いじめ被害児童の親でした。息子の身に起きたいじめ問題が多数報道されたことで世間に知られ、同じような思いをしている保護者の方々などから相談を受けるようになりました。相談は日に日に増え、私は自分に何ができるか考えるようになりました。いじめ被害に遭い、適切な対応が行われず、息子の心が壊れてゆく姿を目の当たりにしていた私は、同じような思いを他の子どもたちにさせてはいけないと感じていました。

 まずは保護者の方々からいただいた相談に耳を傾け、状況を整理し、問題点を考えました。そして、保護者にアドバイスしましたが、たいていの保護者からは「自分で学校や教育委員会と話をしても解決や改善には至らない。森田さんに話をしてほしい」と要望されました。そこで私自身が学校や教育委員会に保護者からの相談や要望を伝え、話をしてみたのですが、警戒されてしまって話し合いに応じてもらえないケースがほとんどでした。

 私は学校や教育委員会に向き合ってもらうにはどうすればよいかを考えました。そもそも世間では次から次へといじめ問題が報じられ、学校や教育委員会の対応が問題視されはするものの、時間とともに風化していくような状況がありました。そうして新たな事案が報じられるたび、同じような事態が繰り返されていることに、私は違和感を覚えました。学校や教育委員会の対応がいつも問題視されながら、なぜ徹底した原因究明や改善が行われないのか。

 私は「学校や教育委員会が、なぜそのような対応をするのかを解明しなければ、改善につながることはない」と思い至りました。そのためにもやはり、学校や教育委員会には向き合ってもらわなければならないので、批判や抗議ではなく、「何を目的として私が介入するのか」を理解してもらうことから始めました。解決や改善に時間をかけ過ぎると、子どもたちに不安を抱かせ絶望させてしまうため、子どもたちのことを第一に考えて早期に話を進めること、そして子どもが何を必要としていて何をすべきかを、学校や保護者と一緒に考えたいと伝え、理解してもらいました。

 学校・教育委員会と保護者のみで話をすると、水掛け論になったり、感情的になったりして、いくら話し合いを重ねても並行線をたどることになります。話し合いの場に関係者が全員そろうわけではなく、学校や教育委員会の代表者と、被害を訴える保護者というケースがほとんどです。誰もいじめの現場を目撃していないのに、子どもたちから聞いた話を基に、それを事実と思い込んで話をしているのです。このような状況を回避するためには、中立の立場で冷静に判断できる者が必要です。

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【プロフィール】

森田志歩(もりた・しほ) 息子がいじめで不登校になり、学校や教育委員会と戦った経験から、同じような悩みを持ついじめ被害者や保護者の相談を受けるようになる。相談が殺到し、2020年に市民団体を、21年にはNPO法人を立ち上げる。いじめ、体罰、不適切指導、不登校など、さまざまな問題の相談を受けているが、中立の立場で介入し、即問題解決に導く手法が評判を呼んでいる。現在では児童・保護者のみならず、学校や教育委員会からの相談も多数寄せられ対応している。相談はホームページから。

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