【「隠れ教育費」からの問題提起 (5)】紙・消耗品

福嶋尚子 千葉工業大学教育センター准教授

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 目立ちにくい隠れ教育費の典型、それがノート、新聞、雑巾、工作・実習材料などの消耗品費だ。学校が現物持参を要望すると、家庭にそれがない場合は保護者が購入し、子どもに持たせる。必要な分だけ購入するのが難しく、持参しなかった残りが未使用のまま捨てられることもある。一つ一つは少額でも、無駄が多い。学校側も、締切日に持参品がそろわず指導に苦労するとも聞く。

 これらをまとめて割安で購入し、公費で負担している学校もある。公費負担が難しくても、現物持参ではなく学校がまとめて購入し、一人分ずつ徴収する方が保護者の隠れ教育費は減り、無駄も少なくなる。

 学校関係者以外にはあまり知られていないが、学校の公費予算の規模は非常に小さい。その中で、紙・トナー・マスター購入のための印刷用消耗品費の占める割合は意外に高い。約200万円の公費予算のうち、40万円を占めているという例も聞く。それでも公費で負担できるところはまだよいが、年度当初から徴収金に組み入れている学校もあると聞く。

 知っての通り、学校はまだまだ紙文化だ。紙で学ぶことの学習効果もあり、教師が吟味して作ったプリントを印刷して教育活動を行うこと自体を否定するつもりはない。ただし、家庭への連絡手段としてのお便り類はどうか。

 コロナ禍の初期、連絡帳を近所の友人に持って行ってもらう欠席連絡方法に、疑問の声が上がった。「連絡帳受け渡し時の物を介した感染リスク」がその発端だったが、次第に「子どもの具合が悪いときに連絡帳を書くのが負担」「連絡帳から個人情報が漏えいする」「先生も返事を書くのが大変では」などの指摘につながった。

 確かに、家庭と学校との連絡手段にお便りや連絡帳などを使うことは、費用がかかるだけでなく、作成・印刷などの時間もかかる。加えて、情報の受け渡しが円滑にいかない、情報が漏れるリスクがある、情報の整理が難しいなどの問題点も抱えている。そこで、多額な印刷消耗品費の一部を、家庭と学校双方向の情報共有や連絡のためのデジタルツール利用料金に充てることはできないだろうか。GIGA端末を家に持ち帰らせている自治体では、この端末も連絡用に使える。ちなみにアンケートや出欠連絡なども、オンライン上で取ると回収率が上がり、集計が容易になる。

 私費負担・公費負担の両方の無駄を削減するだけでなく、保護者と学校双方の負担軽減にもつながる手だてを実現したい。

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