【いじめに向き合う学校(2)】「学校と保護者はなぜこじれるのか」

森田志歩 特定非営利活動法人Protect Children~えいえん乃えがお~代表

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 私がNPO法人として活動し始めてから日々、全国から寄せられる相談やサポート依頼のほとんどは、学校や教育委員会と保護者の関係がこじれてしまい、問題が重大化している事案や、解決できずに長期化してしまっている事案です。なぜ、このような状況になっているのか。問題の本質を解明しなければ根本的な解決ができないため、私は保護者・学校・教育委員会のそれぞれから話を聞き、論点を整理するようにしています。

 ただ、初めから全員そろって話し合いを行うと、必ず水掛け論になってしまいます。現場にいたわけではない私には、お互いの「言った・言わない」が判断できないことから、最初はそれぞれ個別に話を聞くようにしています。するとたいていの事案では、保護者と学校・教育委員会との間で主張が異なっています。

 しかし、何よりも大切なことは水掛け論を続けることではなく、目の前で傷つき、苦しんでいる子どもを迅速に救うことです。対応に当たる保護者と、学校や教育委員会の関係がこじれている状況では、連携して対応することができません。そのため、信頼関係を取り戻すために、私がしばらく保護者と学校・教育委員会の間に入って対応します。

 いじめ事案の一般的な事例を紹介します。まず、子どもから話を聞いた保護者は、学校にいじめ被害の相談をします。そこで学校は事実確認を行いますが、保護者の主張通りの確認が得られなかったり、話の食い違いが出てきたりします。そのことを保護者に伝えますが、理解や納得は得られません。保護者は子どもの話を信じる一方で、学校は確認や調査を行った結果に基づいて話すために主張が異なり、同意ができない状況となります。こうなると当然、保護者は学校に不信感を抱き、激昂したり、「いじめを認めてくれない」「いじめを隠ぺいしている」と言ったりして話が先に進まなくなります。そうして、私のところに相談に来ることになります。

 大人同士の論争が行われている間、子どもは置き去りとなっていて、必要な支援もなされずにいます。私が学校や保護者に求めるのは、目の前で傷つき苦しむ子どもに対し、今何をすべきかを考えて対応することです。そして学校には、いじめ被害の訴えがあったとき、事実確認が困難だったとしても何もしないのではなく、全校児童生徒に対していじめに関する注意喚起などを行ってほしいと要望するようにしています。

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