【「隠れ教育費」からの問題提起 (6)】ランドセル

福嶋尚子 千葉工業大学教育センター准教授

この連載の一覧

 実質的な「学校指定品」、それがランドセルだ。つまり、多くの学校ではランドセル前提で指導を行ってはいるものの、実際に「ランドセルを準備してください」とは指導していない。しかし、「ピカピカの小学1年生といえばランドセル」ということで各家庭は入学の1年近く前から「ラン活」にいそしみ、平均6万円ほどのものを準備する。保護者双方の両親(つまり祖父母)がお祝心で互いに費用負担しようとするので、その調整という作業もある。

ランドセルの重さ(フットマーク株式会社「ランドセルの重さに関する意識調査」より」)

 そんなランドセルだが、知っての通り兵隊が使っていた背嚢をモチーフとしている。革素材で四角く、かぶせを付けて背中に背負う仕様になっている。A4サイズの教科書も入るようにと昨今はサイズが大きくなる傾向にあるが、重さは1~1.5キロ程度とメーカーの軽量化の努力が見られる。値段はさまざまだが6万円ほどがボリュームゾーンで、安くても3万円はするだろう。革製品のため通気性は悪く、夏場は背中が蒸れる。

 ところで、昨今教科書が分厚くなったほか、熱中症対策のために水筒を持たせる学校が急増した上に、GIGAスクール構想が進んだことで端末を家に持ち帰らせる学校も出始めた。他方で、文科省の推奨する「置き勉」(事務連絡「児童生徒の携行品に係る配慮について」2018年9月6日)は、半数ほどしか進んでいないという。

 子どもたちが持っていく荷物、持ち帰る荷物の総量は日によって異なるが、1200人の保護者を対象にした調査で、図のような結果が得られている。子どもは体重の2~2.5割ほどの重さの荷物を背負って毎日登下校しているが、このことを自らの体重に置き換えて想像してみてほしい。荷物を「常に」「頻繁に重いと感じている」割合は、48.1%とほぼ半数に上る。

 重さ問題のほかに、サイズ問題もある。子どもたちの多くは、入学時に買ったランドセルを高学年になってからも使い続ける。本当は買い替えてもいいのだが、6万円のものを買ったからには、6年間使い続けてほしいという思いも出てくる。

 「家庭が勝手に準備してくる」のがランドセルではあるが、学校として子どもの心身に負担を感じさせている現状をそのままにしておいてよいのか。

 まずはなるべく早い段階で、ホームページなどを通じて「ランドセルでなくてもよい」ことを発信し、「子どもの発達に合っている」「両手が空く」「収納力」などの望ましい機能性を説明する。次に、「置き勉」を認める。学校内で教育活動が完結できれば、それに越したことはない。忘れ物の確認や指導に時間を取られることも減るだろう。

この連載の一覧

あなたへのお薦め

 
特集