【「隠れ教育費」からの問題提起 (7)】修学旅行

福嶋尚子 千葉工業大学教育センター准教授

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 入学以後、単発で最も重い私費負担になるのは修学旅行だろう。しかし、周知の通り、コロナ禍で最も大きなダメージを受けたのがこの修学旅行でもある。公益財団法人日本修学旅行協会によれば、2020年度において計画通り修学旅行を実施できた中学校は、調査に回答した全国1030校のうちたったの14校(1.4%)にすぎなかった。時期や日数、行先などを変更して実施した学校は486校(47.2%)、中止した学校は530校(51.5%)で、特に関東と中国地方では中止の割合が75%近くにも上った。

「修学旅行」でコロナの影響による当初の計画からの中止・変更があったか〔中学校〕 (日本修学旅行協会)

 修学旅行は、小学校の場合は1泊2日で2~3万円程度、中学校の場合は2泊3日で6万円程度かかるので、多くの学校では積立方式で私費を徴収している。多くの修学旅行は学校側が旅程についての希望を旅行会社に伝え、旅行会社がそれに合わせて往復の交通機関や宿泊施設などを手配する「受注型企画旅行」として行われる。そのため、通常のパック旅行よりも、旅行会社の企画料分が割高になる傾向にある。しかし、保護者としても、普段旅行に連れていけない家庭なほど、「ぜひ行かせてあげたい」と考えており、この決して安くはない積立金を準備する。

 コロナ禍で修学旅行が中止になった学校では、基本的にこの積立金を保護者に返金している。だが、旅行会社の企画料やキャンセル料が発生した場合は、これを保護者負担にしたという話もある。他方で、学校事務職員らの交渉により自治体がこれらの費用を負担することになったところもある。修学旅行を実施できるか否かの難しい判断を迫られる中、教員が不安な気持ちの児童生徒の対応に苦慮したり、その裏で私費負担の軽減がなされていたりしたことは、残念ながらあまり保護者には知られていない。

 その一方で、コロナ禍は修学旅行の必要性を改めて見直す機会にもなった。19年度の行き先のトップは京都(22.7%)で、以降は奈良(19.8%)、東京(11.9%)、大阪(9.1%)、千葉(7.4%)と続いている。20年度は京都と奈良の1・2位は変わらないものの、その比率は大幅に下がった(6.3%、5.9%)。以降は山梨(5.9%)、長野(4.9%)、北海道(4.6%)となっており、行先が全国に散らばった格好だ。重点を置いた活動内容も、歴史学習に次いで自然・環境学習が続き、これまでの観光地やアミューズメントパークを巡る在り方に変化が生じている。

 学校は実施自体を目的にするのではなく、その名の通り「修学」を目的として、この一大行事を見直す機会にしてほしい。

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