【「隠れ教育費」からの問題提起 (8)】部活動

福嶋尚子 千葉工業大学教育センター准教授

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 建前では、子どもの自主的な選択に基づいて保護者が負担すべき費用が変わってくるのが部活動である。しかし、実際には指導上、または実質的に「全員加入」方式となっており、子どもは「自主的な選択」をする余地がほとんどない場合もある。加えて部活動にかかる費用は学校また部により、複数の私費の負担ルートが存在することが多く、保護者の負担額も実は子どもの「自主的な選択」とは別で決まっている。

 主な負担ルートは、①部費②現物持参(家庭で準備)③生徒会費④PTA費や後援会費――の4つである。①と②は分かりやすいが、③と④は見えにくい。③の生徒会費は、全家庭から徴収した予算のうち多くの部分が生徒総会などで審議され、各部に配分される。④のPTA会費や後援会費は、徴収した予算の中から、部活動支援費や設備・用具として金品を寄付する、というルートだ。

 こうして見ても分かるように、保護者は多ければ4つの負担ルートで何重にも部活動に関わる費用を負担している。子どもが入部していない場合や①と②がほとんどかからない部を選んだ場合も、③と④で多くの金額を負担していることもある。

 付け加えると、④のルートは保護者だけでなく、教職員にも費用負担を強いている可能性が高い。さらに部の顧問となれば、経験者・未経験者を問わず、遠征費や講習費、不十分な部活動用品の購入などで身銭を切っている人が少なくない。

 現在、スポーツ庁の有識者会議で運動部活動の地域移行の議論が進んでいるが、これにより教職員の自腹問題は絶対に解消しなければならない。他方で問題となるのは、先行して展開する休日の地域スポーツが、子ども・保護者にとってより「高額な習い事」になる可能性だ。同会議は学校の施設・設備を地域スポーツ団体に利用させることや中学生については会費を低廉に抑えることなどを提言しているが、平日の部活動がまだ残ることを考えると、一時的であっても①の部費が二重になる可能性がある。さらに、将来的に③をなくせても、学校の施設・設備を地域スポーツが使用する可能性があるとすると、④は残ってしまう。

 教職員を重い指導負担から解放しつつ、子どもたちの自主的な活動の場を残すためには、部活動がどこで行われるものであっても、公費を投入するしかない。そうすることで①、②を減らしつつ、割当的寄附金(地方財政法4条の5)に抵触する可能性もある④のルートを廃止してもなお、必要な設備・用具が準備され、指導者に適切な対価が支払われる体制をつくることが必要である。

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