【いじめに向き合う学校(5)】子どもは厳罰を望んでいない

森田志歩 特定非営利活動法人Protect Children~えいえん乃えがお~代表

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 2013年に「子どもたちの命や尊厳を守るため」として「いじめ防止対策推進法」が制定されましたが、その後も子どもの自死事案や重大化事案が後を絶たず、増え続けています。当事者である子どもたちの認識や考え方・行動などを把握するため、22年1月11日~2月25日にかけて、約3万人の小学生・中学生・高校生を対象としたアンケートを実施しました。

 アンケートで「いじめをした生徒には、どうして欲しいですか」と問うと、「教室に入らないようにしてほしい」と、罰を望む子どもたちは4.9%にすぎず、一方で「反省して謝ってくれればよい」と回答した子どもたちは約70%に上りました。

 自由記述でも「教室に入れないのはいじめだと思う」「反省して同じことをしなければよい」「罰するのは苦痛を与えるだけで、反省より逆恨みをしそう」といった記述が多く見られました。一部の国会議員や専門家、保護者などが加害児童生徒に対して出席停止などの懲戒制度を求めていますが、当の子どもたちの多くは加害者への厳罰を望んでいないという実態があります。

 私の元には、被害に遭った子どもたちからの相談も多く寄せられますが、ほとんどの子どもは「相手生徒に謝ってほしい」と言い、保護者の要望と子どもの要望が異なることはよくあります。いじめの被害を受けているのは子どもであって、保護者や大人たちではありません。「子どもたちのために」と大人が作っている法律や制度が、本当に実態を伴ったものになっているか、よくよく考えてみる必要があります。

 また、被害を受けた子どもたちは一人一人、受け止め方や望むことも異なります。そのため、被害児童生徒だからといって一律に同じ対応をするのではなく、一人一人の子どもが何を苦痛に感じているのか、何を望んでいるのかを的確に把握した上で、対応していくことが大事です。

 時に「保護者との関係がこじれ、被害児童生徒と話ができない場合はどうしたらよいか」という相談を、学校や教育委員会からいただくことがあります。そういう場合はカウンセラーや子ども家庭局など、自治体において子どもと関わりのある立場の方々と連携し、その人たちに直接の対応をお願いするのがよいと思います。

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