【いじめに向き合う学校(6)】「今すぐ助けて」の声に応える

森田志歩 特定非営利活動法人Protect Children~えいえん乃えがお~代表

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 現在、子どもたちからの相談を平均で月50件ほど受けています。特に多いのはいじめ被害に関する相談ですが、ほとんどの子どもは「今すぐ助けてほしい」と言います。状況を聞くと「親と学校が話をしているけど解決しない」というケースも多く、中には自傷行為を繰り返している子どもや何度も「死にたい」と言う子もいます。

 そうした子どもたちの周りには、保護者や学校、教育委員会、自治体の子ども担当課などが存在しながら、誰もその子を救うことができない現実に疑問を抱くばかりです。私は子どもからのSOSを優先していますので、遠方であってもすぐ会いに行き、連絡をくれる子どもたちとは少しの時間でも話をします。

 被害に遭った子どもは不安を抱えているので、安心感を与えることが大切です。無理やり話を聞き出したり、「こうしなさい」などと強制したりするのではなく、話してくれることに耳を傾け、「つらい」「苦しい」などの思いに寄り添います。そして「必ず助けてあげる、守ってあげる」と約束します。

 多くの子どもたちが、大人に対して不信感を抱いています。子どもたちがよく言うのは「大人はすぐ、誰が悪い、何が悪いとばかり言うけれど、誰も助けに来てくれない。だから大人たちがしていることは、ただのパフォーマンス」「大人もネットで誹謗(ひぼう)中傷したり、いじめをしたりしているのに、なんで子どもばかりが『いじめはいけない』と言われるのか」「学校や教育委員会が悪いとばかり言われるから、先生に相談しても無駄なのかと思ってしまう」などの言葉です。

 このような不信感を与えていては、子どもは大人に相談することを諦め、絶望し、最悪の事態を起こしてしまいます。一人一人の大人が、子どもの見本となるような言動を心掛ける必要があります。

 私は時に、加害児童と呼ばれる立場の子どもからも相談を受けることがあります。「謝りたいけど、素直に謝れない」「自分もやられたのに加害者と言われている」「友達の嫌がることをしてしまった。どうしたらよいか」などです。いじめは決していけないことですが、加害児童と言われる子どももいろいろな思いを抱えているのです。

 被害児童・加害児童は立場が違うので、同じ対応を行うことはできませんが、どちらも教育を受ける過程にある子どもたちです。悪いことをしたからと罰を与えて懲らしめるのではなく、物事の善悪や「なぜいけないことなのか」を正しく理解させることが、同じ過ちを起こさせないための教育になると考えています。

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