【対話型ワークショップ(1)】《はじめに》なぜ、学校に対話型ワークショップが必要なのか

大阪市立新巽中学校教諭 里見 拓也

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 「校内研修が楽しいってどういうことですか!?」

 勤務校に視察に来られた方を校内ワークショップにお誘いしたときの言葉です。「楽しい研修なのでご安心ください」と伝えたことへの返答でした。

 多くの学校では、研究授業に伴う研究協議や講師を呼んでの講習などを校内研修として実施しているのではないでしょうか。私がデザインする校内研修は、「対話型ワークショップ」です。この校内研修の在り方は、職員室の心理的安全性や革新的な教育活動として結実し、子どもたちとの学びを変えることにつながりました。本連載では私の実践してきた対話型ワークショップのデザインや具体例を通じて、学校が未来に対応するための方法を共有します。

 さて、突然ですが皆さんは「教員のあるべき姿は?」と聞かれてどう答えるでしょうか。

 教員のあるべき姿は、ご自身のこれまでの「先生」との関わりや教員人生、さまざまなメディアから受けた印象など、多様な要因によって個々人の中に固定観念化されていきます。

 では、そのあるべき姿を問い直したことはあるでしょうか。

 産業革命以降150年以上にわたって、工業化社会に対応するための教育が世界中で実践されてきました。それは工場労働者を必要とした時代に適した教育方法でした。しかし、時代は移り変わります。テクノロジーの進歩に伴う変化の激しいVUCA時代と呼ばれる現代、子どもたちの未来を創る教員像に変化はないのでしょうか。もちろん、変化すべきでないところはありますが、変化しなければならないことがあるのは明確です。では、どのように変化すべきなのでしょうか。そして、その新たな教員像はあなたの学校では共通認識として共有されているでしょうか。

 教員は子どもたちの未来を創っていく最もクリエーティブな仕事の一つです。未来を創るこの仕事の持つ可能性を最大化するためには、メンバーがお互いの価値観を共有し、未来から逆算された教育目標やカリキュラムマネジメントを実践すべきです。互いの価値観を理解し合い、新たな価値や意味を生み出す場が、この「対話型ワークショップ」です。

 対話の場は、組織を効果的に動かすためには欠かせませんが、職場では意図して形成しなければなかなかつくることができません。例えば、先ほどの教員像についても、個々の教員像を互いに分かり合っていなければお互いを効果的に生かすことができませんし、場合によっては対立を生む可能性もはらんでいます。

 本連載では、あなたの職場の心理的安全性や学びの形をより良くするための一つの手段としての対話型ワークショップをお伝えできればと思います。

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【プロフィール】

里見拓也(さとみ・たくや)大阪教育大学連合教職大学院卒。GEG Ikuno共同リーダー。大阪市立新巽中学校に勤務し8年目。「全教員で全生徒を信じて見守る」をテーマとした学校改革に携わり、主に研修主担として、心理的安全性を高める対話型ワークショップをデザイン・ファシリテートしている。また、持続可能な社会の探究をテーマにPBLをデザイン、実践している。子育て真っ最中の2児の父。中学生の頃から毎週教会に通うクリスチャン。音楽と写真とアートとクラフトビール好き。

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