武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部・上松恵理子准教授

フィンランドでは、プログラミング教育が2016年に必修化され、小学1年生から実施されている。今では、ほとんどの学校で教科書はデジタル端末で見ることができる。 15年に訪問したMaunulan Yhtei校は、数学と体育に特に力を入れている高校だった。数学の授業の中にプログラミング教育があり、新1年生から卒業試験を含む全ての試験がCBT(注1)で行われるようになるため、全ての教科でパソコンを使用していた。この学校は自分のパソコンを持参するBYOD方式をとっており、1人1台のタブレット端末が使われていた。教材は机上のタブレット端末でもプロジェクターでも確認できる。生徒が自らウェブ上の教科書を見たり宿題にアクセスして確認したりしていた。 教員は校務情報システムWILMAで生徒の出欠や成績、学習態度を入力する。……

 

高校選択のうわさと真実

今年度の高校選択ガイドとして作られた学校教育庁のウェブサイトや動画が目を引いた。ウェブサイトの冒頭に、「ちまたでよく言われているが、真実ではない」と大きく書かれて紹介されている「高校選択の九つの神話」に、高校選択の理想と現実が映し出されていたからである。2回にわたって、これを通してスウェーデンの高校入学について紹介したい。
■専門分野の選択
スウェーデンでは義務教育を終えた後、ほぼすべての生徒が高校に進学する。日本と異なって入学試験はなく、生徒による選択の自由が重視されている。 卒業半年前に生徒たちが、希望する学校や学科を選択して地区のセンターに届け出る。各学校の定員や、生徒の中学校での成績を鑑みて、センターが入学先を提示し、生徒がその提示を受け入れればそこで決定、異議があれば選び直し、最終的に6月ごろには入学先を決定する。 入試がない制度に魅力を感じる人も多いだろう。……

大谷大学教授 荒瀬克己

京都市立高等学校21世紀構想委員会は、市立高校の将来構想を検討する有識者会議だ。1996年に堀川高校の改革を提言した。校内の検討を踏まえたキーワードとして「探究」を掲げた。 97年に新しい堀川高校に向けた準備室が設置された。堀川高校の教員も加わる準備室の役割は、学校と緊密に連携して改革を支えることだ。中学生へのアンケートも準備室が実施した。アンケートは新聞社から手厳しい評価を受けたが、連日多くの返信が届いた。宇宙、環境、社会、文学、歴史、海洋、エネルギー、科学技術、自然科学、生活など、さまざまな学習分野に関する記述があった。 中学生は学びについて多くの興味や関心を持っている。……

立命館大学教授 湯浅俊彦

日本の学校図書館における電子図書館サービスの現況について、「LibrariE」を導入している日本体育大学柏高校、関西創価中・高校、芝浦工業大学附属中高校の事例を挙げて、検証してきました。これらの取り組みから学ぶことは次の3点です。 第一に、最も重要なのは、学校としてICTを教育に積極的に活用しようという意欲があること。その上で、電子図書館サービスを導入する意義を明確にし、それを校内で共有していることです。第二に、同じ電子図書館サービスを導入していても利用方法はそれぞれ特色がある点。共通するのは図書館司書と教師が連携し、授業や課外学習に役立つ利用方法をそれぞれの学校に合った方法で考えること。第三は、従来の図書・雑誌を単に電子化するだけではなく、生徒がいつでもどこでも利用できる新たな情報資源として電子書籍を捉え、生徒が主体的に学習するツールとして活用していることです。 ここで強調したいのは、学校での図書館司書の役割が変化していることです。……

武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部・上松恵理子准教授

エストニアはバルト三国の一国で、電子政府やSkype発祥の地などとして有名だ。電子政府に切り替えたことで、公的手続きの多くはネット上で行われ、人件費が大幅に削減された。ICT化で紙を使った非効率な作業が減り、働き方改革にも貢献したそうだ。 電子政府への移行を円滑にするため一番重要だったのは、国民がパソコンを使うことへのハードルを低くすることだった。そこで20年前からIT教育を推進してきた。現在、小学1年生からプログラミング教育が必修化され、全ての教科でパソコンを使うことにした。一方でお年寄りには、電話1本で役所の職員が家庭まで教えに行くという。 これらの手間を差し引いても、電子政府にした方が財政面で大幅な削減ができる。……

大谷大学教授 荒瀬克己

兆(きざ)し。明鏡国語辞典には「物事が起こり始まろうとする気配。兆候」。芽生えの意があり、「萌し」とも書く。平成11年は1999年だ。1と9が3つずつ並ぶ。これは、よいことの「きざし」に違いない。そう信じることにした。 京都市立堀川高校は、この年の2月に新校舎を竣工(しゅんこう)した。4月から普通科に加えて、人間探究科と自然探究科を新設し、新しい堀川が始まった。 教育活動の軸は「探究」。……

元東京都日野市立小学校長 京極澄子

「指導の工夫」により、授業への参加意欲や理解が進むという結果が得られました。しかし、指導の工夫だけでは、「分かった」「できた」に到達できない子もいます。 そこで、授業内で行う「個への配慮」や授業外での「困難さに特化した指導」が必要になります。いずれも、個の困難さを的確に把握し、必要な配慮や支援を検討・実施し、それが有効だったか評価することが大切です。 「個への配慮」は、丁寧に子供を見取る、本人の自尊心を傷付けないよう目立たなく支援する、学びの過程で褒める、がポイントです。……

立命館大学教授 湯浅俊彦

芝浦工業大附属中高校は2017年4月、東京都江東区豊洲の新校舎設立に伴い、タブレット型PC「S-tab」を生徒、教職員全員が持っています。このデバイスを活用して電子図書館サービス「LibrariE」も導入することになりました。 筆者は、18年7月に同校を訪問し、大坪隆明校長、佐藤真也事務長、図書館を受託運営する紀伊國屋書店の担当者から詳しく話を聞くことができました。 同中高校は、18年4月1日時点で中学校13クラス509人、高校18クラス618人。(うち女子生徒は中高合わせて35人)という、理工系進学を目指す学校です。明るく開放感のある図書館には5万冊の蔵書があります。……

武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部・上松恵理子准教授

 スウェーデンは、選挙のマニフェストのトップに教育を掲げると当選するほど、教育熱心な国だ。選挙期間には、小学生が各政党のテントを回り、政党ごとの主張をまとめるような授業があり驚いた。  学校では、子供の人権を最重要視している。小学校1年生から全員に電子メールアカウントが与えられていることも「基本的人権であり、当然のこと」と教師たちは言う。ある小学校では、トイレの前で「トランスジェンダーなど、性の多様性を考慮し男女別にしない」と説明を受けたこともあった。  ストックホルムのオールシタ小学校には、これまで3回訪問調査した。……

元東京都日野市立小学校長 京極澄子

「焦点化」は目標や活動の範囲を絞り、思考が深まるようにすることです。教師は、多くのことを教えなければと考えて、子供が消化できないほどの内容を詰め込んでしまうことが多く、その結果、子供が何を学んだか自覚できないことになります。 狙いの設定は、単元の指導計画の位置付けを明確にし、子供に授業終了時にどうなっていればよいかのゴールを分からせることが基本です。 かつて拝見した中学校の授業は日露戦争を学ぶ内容でした。……

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