【対話から始める学校づくり(9)】熊本市教委の学校管理規則の見直し

日本若者協議会代表理事 室橋祐貴
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日本では、校長の裁量権が広く認められており、学校内での意思決定の在り方や校則の内容についても、校長の権限に委ねられていることはこれまで述べた通りです。しかし、国連・子どもの権利委員会が以下のように勧告している通り、全ての子供の意見表明権(the right to be heard)」を保障するために、学校運営への生徒参加を「制度化」していくべきです。

「110.意思決定過程への着実な子どもの参加が、生徒会や学校理事会の生徒代表により、成長と学校の政策と校則の実施について自由に意見を述べる中で、実現されなければならない。これらの権利は、これを実施する当局や学校側の善意に頼るのでなく、法制化される必要がある」

そう考えていた矢先、3月25日に熊本市の教育委員会で校則についての学校管理規則の改正が行われ、次の3つが定められました。

・校則は必要かつ合理的な範囲内であること

・校則の制定・改廃に教職員、児童生徒、保護者が参画すること

・校則を公表すること

校則の内容について、①生まれ持った性質に対して許可が必要な規定(地毛の色について、学校の承認を求めるものなど)、②男女の区別により、性の多様性を尊重できていない規定(制服に男女の区別を設け、選択の余地がないものなど)、③健康上の問題を生じさせる恐れのある規定(服装の選択に柔軟性のないもの、選択の余地がないものなど)に関しては、「必ず改定する」よう求めるなど、これまでより強制力の高いものとなっています。

校則の見直しについて、今年度の終わりに「報告書」を作成し、教育委員会に提出するよう求めており、「通知」程度で済ませていたこれまでの自治体(教育委員会)の動きとは一線を画すものとなっています。

今回、学校管理規則という、法的根拠のある形で、校則改定への児童生徒の参画を定めた理由について、遠藤洋路教育長は「実効性を担保する」ため、「教育長が変わったら戻るとならない」ようにするためと言います。

法的根拠の重要性については、国連・子どもの権利委員会の勧告文に書かれている通りです。将来的には、国の法律で担保すべきだとは思いますが、熊本市と同様の取り組みが他の自治体にも広がることで、そうした動きも生まれてくるでしょう。

熊本市の取り組みは、まだ始まったばかりのため実際の変化が出てくるにはもう少し時間がかかりますが、各学校でどのように「対話」が行われ、ルールや意識が変わっていくのか、日本における先進的な取り組みとして大いに注目したいと思います。


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