全ての子どもが過ごしやすい学校 ジェンダー規範に縛られない言動で

NPO法人ReBit代表理事 藥師実芳

子どもたちと話す藥師代表理事とReBitメンバーの若者
子どもたちと話す藥師代表理事とReBitメンバーの若者

◇なぜLGBTについて教育現場で考える必要があるの?◇

LGBTとはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(身体の性と心の性が一致しない人)の頭文字をとった言葉です。昨年の電通総研ダイバーシティーラボ調べによれば、LGBTは国内人口の約7・6%、13人に1人程度いるといわれています。しかし、認知や支援は十分ではありません。

「性同一性障害の思春期危機について」の研究では、LGBTは自殺におけるハイリスク層であり、性同一性障害者の約3人に2人は自殺を考え、特に自殺念慮が高まる時期が二次性徴期だという調査からも、学校現場での理解向上や支援体制が急務であると考えられます。

また昨年4月30日に、文部科学省から「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」という通知が出され、学校現場において、性同一性障害を含む性的マイノリティの子どもたちに対しての支援や、教職員や子どもたちの理解向上に努める必要性が明記されました。

◇LGBTの子どもが困りやすいこととは?◇

LGBTの子どもが困りやすいことは、2つに大別されます。1つ目に、敬称(~さん、~くん)、持ち物の色、名簿や席順、またトイレや修学旅行の部屋といった、男女で分けられているもの・ことです。敬称や持ち物の色、席順などは男女を一緒にするという対応が可能ですが、トイレや修学旅行の部屋、さらには制服や健康診断の場所などは、男女一緒にするのは難しく、また一緒にすれば解決するというものではありません。相談しやすい環境を整え、個別対応をすることが必要です。

2つ目は、LGBTの児童生徒がいないことが前提となった言動に、疎外感があったり、違和感を覚える自分を責めたりする場合があるということです。例えば、男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしくというジェンダー規範に基づいた考え方や、「みんな異性愛者で、いつか結婚して、子どもを0育てていくよね」を前提とした考え方が挙げられます。このような言動は、LGBTの子どもをはじめ、男の子らしくしたくない男の子や、女の子らしくしたくない女の子に疎外感を与えてしまう場合があります。

◇LGBTの子どもが過ごしやすいのは、どんな学校?◇

LGBTであるかどうかは、見た目では判断できません。だからこそ、特定の子どもにとってではなく、全ての子どもにとって、LGBTであってもなくても過ごしやすくなる工夫が大切になります。そのためには、何か事情を抱えた子どもがいるかもしれないという状況を念頭に置いていただくことが、何よりも大切です。

また相談を受けたときの対応も非常に大切ですが、相談できると思える先生が1人でもいる環境が、その子どもが明日も学校へ通えることへつながります。LGBTを取り上げたニュースをホームルームの時間に話す、学級通信等の配付物や掲示物に書く、LGBTの本を学級文庫、図書室、保健室等に置く、LGBTの象徴である6色のレインボー(赤・橙・黄・緑・青・紫)を身に着けたり貼ったりするなど、「LGBTのことを知っているよ」というメッセージをぜひ発信して、安心して相談できる先生であってください。

◇NPO法人ReBitとは?◇

ReBitは、LGBTを含めた全ての子どもがありのままでオトナになれる社会を目指すNPO法人です。教育現場や行政等で約200回、約2万人に向けたLGBTの授業・研修を展開したり、教職員に向けた教材の作成を行ったりしています。授業・研修を希望する場合の問い合わせは、ホームページ(http://rebitlgbt.org)からどうぞ。

関連記事