子どもの心が動くとき、大人や地域が変わっていく【第13回博報教育フォーラム】

(公財)博報児童教育振興会(成田純治理事長)が主催する第13回博報教育フォーラム(文科省後援)2月13日、東京都千代田区の日本工業倶楽部で開催された。テーマは「子どもの心が動くとき、大人や地域が変わっていく」。今年度第46回博報賞受賞者の中から、特別支援教育部門1件と教育活性化部門2件、研究者による基調講演、フロア参加型のパネルディスカッションが行われた。想像を超える子どもの力から派生する実践に対し、登壇者と参加者が一体となって理解を深めていた。


pr20160321_02

基調講演

「共有型しつけ」で 親子対話が学力格差を克服
内田伸子お茶の水女子大学名誉教授

内田伸子お茶の水女子大学名誉教授は、「子どもの貧困は超えられるか?~学力格差は経済格差を反映するか」をテーマに基調講演し、次のように語った。

◇  ◇  ◇

しつけの「スタイル」に着目すると、1つには親子の触れ合いを大切に子どもと一緒に楽しい経験を共有する「共有型しつけ」がある。他方、子どもをしつけるのは親の役目だから、悪いことをしたら罰を与えるのは当然と、禁止や命令など力のしつけを多用する「強制型しつけ」があり、2つが対比できる。

子どもたちのリテラシーについて、日本、韓国、中国、ベトナム、モンゴルの大都市の3~5歳児3千人ずつを、子どもたちが小学校に入学するまで追跡調査を行い、親、幼稚園や保育所の先生にもアンケートを行った(結果は平成24年に発表。詳細は『世界の子育て格差―貧困は超えられるか?』/金子書房)。それによると、所得格差と関係なく、「共有型しつけ」の親のもとで育てられた子どもの方が、リテラシーの得点・語彙得点は高かった。幼児期に、親や保育者の大人が、子どもの主体性を大事にした関わり方をしていることが重要である。

ここから、学力格差は経済格差を超えられるといえる。重要なのは、ほめる、はげます、ひろげるといった共有型しつけに基づいた親子のコミュニケーションである。

難関校といわれる学校に通う学生、医師や官僚といった難関職種といわれる職業に就いている人の話を聞くと、子どものころに「共有型しつけ」を受けていたという。

また遊びを通して子どもは「楽習」する。自我同一性や人間としての豊かさが形成される9歳から10歳までに、主体的で自発的な遊びを通して「楽習」させることが大切。この時期までに「楽習」をしていないと、意志力や判断力などが形成される時期を乗り越えられない。

博報賞を受賞した3つの事例は、教師や地域の達人など大人に学ぶことで子どもが変わり、そのことで大人も変わる姿を示していた。また地域の絆や底力を育むためには、コミュニケーションが大切であることが学び取れる。


【第13回博報教育フォーラム】
◇パネルディスカッション=失敗体験・自分事・感動が大切
◇特別支援教育部門=届く言葉をかけ共にやってみる 岡山県津山市特別支援教育推進センター 吉田英生所長
◇教育活性化部門=思いを知り共感しふるさとに愛 新潟県胎内市立中条小学校
◇教育活性化部門=キャリア教育を深め郷土愛が育つ 秋田県大館市教育研究所