創立40周年迎えた教科書研究センター わが国の教科書研究をリード

常田寛センター理事長に聞く
調査研究と教科書図書館で大きな貢献

公益財団法人教科書研究センター(理事長・常田寛光村図書出版(株)代表取締役会長)が、創立40周年を迎える。〝主たる教材〟として学校教育上大きな役割を担う教科書について、先進的な調査研究を実施するとともに、蔵書豊富な教科書図書館の運営でわが国の教科書研究をリードしている。常田理事長に、これまでの活動の成果、功績、および今後の展望などを聞いた。

――センター設立の趣意は。

わが国の教科書発行者による教科書に関する共同の研究開発機関の必要性から企図されました。教科書にについて基礎的・総合的な調査研究を行い、教科書発行者等に対しその成果を提供するなどして、教科書等の質的向上・充実とその研究の振興を図り、これらによって学校教育の発展に寄与することを目指しております。

――多くの調査研究を手掛けていらっしゃいますが、概要を教えてください。

主に、文科省の研究助成を受けて行ってきたもの、それからセンターが自主的に独自のテーマを設けて行うものがあります。文科省科研費では、「教科書の質的向上に関する総合的調査研究」「『学習材』としての教科書の機能に関する基礎的研究」「教科書の編纂・発行等教科書制度の変遷に関する調査研究」などがあり、大掛かりに取り組んでいます。

自主的なものとしては、教科書の体様、体裁、内容など編集に関するもの、制度に関するもの、海外事情に関するものなどがあります。発行者が抱える課題などをとらえ、時宜に合ったテーマを設定し、場合によっては海外派遣なども取り入れながら研究を進めています。

研究成果はセミナーなどで、研究者、発行者にも浸透させ、教科書の質的向上に資することができるようにしています。
また、センターは国立教育政策研究所をはじめ全国の国公民間立教育研究機関で組織する全国教育研究所連盟に加盟しています。その研究発表大会等で成果を報告するなどして、教育関係機関・関係者への普及・浸透を図っています。

このほか、最近では、教科書の改善に関する調査研究の推進を目指して、大学院生による研究論文作成への助成金交付も行っています。

――大きな事業として教科書図書館の運営がありますが、その概要を教えてください。

センターの目的を達成する事業の一つとして、昭和52年に教科書図書館を開設しました。小・中・高等学校において文部省検定済教科書の使用が始まりました昭和24年以降の検定教科書が完備されています。また、諸外国の教科書、教科書に関する調査研究資料などを収集・展示し、利用に供しています。検定教科書、教師用指導書、副読本・指導書、海外の教科書や指導書などです。

開館日は毎週月~水曜日で、年間の開館日数は140日前後です。毎年、2千人以上の閲覧者が訪れています。教科書発行者、小・中・高校教員、大学等の研究者・学者、学生などが主の閲覧者です。最近では、海外からの訪問者も増えています。アジアや南米などの教育関係者の調査団等がわが国の教科書を研究するために来訪しています。

データベース化への要望も多く、「小学校国語教科書データベース」「教科書目録情報データベース」を構築して、検索利用できるようになっています。今後は他の教育関係図書館や文庫、大学等研究機関の図書館ともリンクできるようにして、教科書関連の研究の充実により一層貢献できるようにしたいと考えます。

――今後の展望は。

文科省が主導する教育政策はありますが、単にそれを追認するだけではなく、学校教育の発展に寄与できるテーマを選択して調査研究に取り組んでいきたいと考えます。

また、所蔵している全ての資料が有効に公開され、誰でもがアクセスできるように図書館機能を充実していきます。使い勝手がいいようにシステムを整備し、世に開かれた図書館としてグローバルな世界につながっていけるような仕組みを整えたいと思います。

――創立40周年を記念して小・中学生を対象に実施する「わたしと教科書」作文コンクールへの期待は。

教科書を読んだり、学んだりして最も心に残ったものや、印象に残ったことは何か、などが知りたいことです。教科書は学力向上を目指し、子供たちが学びやすいように発行者が紙面構成などを工夫して作成しています。

そういう学習面だけではなく、例えば、小学校の6年間で教科書に関して最もインパクトが強かったことは何か、楽しいと思ったことは何か、すぐに思い出すことは何か、など教科書が子供の心にどのようなものを残していけるのか、作文からこのようなことがわかるとありがたいと思います。
多くの応募を楽しみにお待ちしています。