グローバル人材を育成 意欲や論理性高める実践で

グローバル人材育成セミナーが5月18日に大阪市のTKPガーデンシティ東梅田カンファレンスルームで、5月25日に東京都新宿区のTKP市ヶ谷カンファレンスセンターで開催された。(株)教育新聞社が主催し、ISS(株)国際交流センターが共催、(株)エデュケーショナルネットワークが協力した。鈴木慰人文科省初中局国際教育課長補佐が「文部科学省の教育現場におけるグローバル人材育成の施策概要」を説明。「世界に羽ばたけ!市学生~市川学園のグローバル教育について」と題した講演では、宮﨑章(学)市川学園市川中学・高校校長が大阪会場で、及川秀二同学園副校長が東京会場で登壇。共催社の中山力洋ICC事業部学校・法人営業課長は「学校におけるグローバル教育海外研修実施事例」について話した。

◇学ぶ意欲を向上◇

鈴木課長補佐によると、平成26年度小学校外国語活動実施状況調査では、小学校5、6年生の72.3%、中学校1年生の60.2%が「英語の授業が好き」と回答。27年度英語教育改善のための英語力調査では高校3年生の54.9%が「英語の学習が好きではない」と答えた。学年が上がるにつれて、英語の学習意欲に課題が見られる。中学校3年生と高校3年生を対象にした同調査では、4技能全てに課題があるとの結果になった。校種間の学びの接続が十分とはいえない上に、自分の意見を表現しない書き写し学習が広く行われていると指摘した。

一方、27年度英語教育実施状況調査によると、目標としている英語力を達成しているのは公立中学校3年生(英検3級以上+同相当)で36.6%、公立高校3年生(英検準2級以上+同相当)で34.3%。英語教員の英語力では、公立中学校(英検準1級以上またTOEFL PBT550点以上など)が30.2%、公立高校(同)で57.3%が目標を達成している。

日本の海外留学者数については、16年の約8万3千人から24年には約6万人へと約28%減少。グローバル人材が強く求めらている中で、学ぶ意欲の向上に、一層取り組む必要があるとした。

25年6月14日閣議決定の「第二期教育振興基本計画」では、▽豊かな語学力・コミュニケーション能力▽主体性・積極性▽異文化理解の精神などを身に付け、多様な分野で活躍できる人材の育成が重要とされた。同課長補佐はこれに加え、日本人としてのアイデンティティや日本文化への深い理解も大切とした。

国際教育について理解を深めた
国際教育について理解を深めた
◇書く力に注力◇

創立80年の市川学園は生徒数約2300人。そのうち13.5%の311人は海外生活を経験している。帰国生入試、英語選択入試を取り入れ、文系理系にとらわれず、広く教養を学びながら思考力、判断力、表現力を身に付けるリベラルアーツ教育を目指す。今年からオープンクラス(自主的公開授業)を開始。どの教員も他教員による授業を見にいける環境を推進している。ベテランは若い教員に刺激を受け、若い教員はベテランの良いところを学べる。

国際教育部を設置し、ユネスコスクールやホストファミリー・ネットワーク、グローバルゼミなどの活動を通して、生徒が国際的な教育に触れられる機会を設けている。イギリスの大学での学習や、カナダやニュージーランドでホームステイなどを行う国際研修には180人が参加。今年からはアメリカの大学で学べる研修も実施する予定。

今後は大学の英語を重視し入試に向けて〝Writing〟を教育の柱にするとした。クリティカルシンキングに基づく論理的な文章を書かせる教育を軸とする。授業や定期試験でも「書くこと」をもっと取り入れ、将来的には添削指導を担当する“Writing Center”やその担当者を置けるようになればと話した。

◇触れ合いが意欲に◇

中山課長は、グローバル教育の海外研修実施事例を示した。英語で自分の考えをきちんと主張でき、グローバル社会で活躍できる人材の育成を目的に事前研修や定期研修を実施。事前研修では、英語ネーティブ講師による月2回のレッスンを合計10回実施。ホームステイや学校生活で必要なフレーズの習得や自分に関するストーリーの暗唱、アメリカ人講師による米国指南を行った。グローバルキャンプは学校内で展開し、インプロ(即興)ワークやグループプレゼンテーションなどを英語で行った。海外研修では、現地の大学生や高校生とのふれあいにより、生徒の英語学習への意欲が向上したという。

今後は、オンラインでの英会話やディスカッションやホストファミリーとの会話にも力を入れていきたいとした。