教員への道はいつも開かれている【大学通信教育課程特集】


大学通信教育を活用して、教員になる夢をかなえる。教員として資格を増やし、力量をアップする――。

教員免許状を取得するのに通信教育で学ぶ人が増えている。新規で取得する場合もあれば、現在持っている免許状を上位のものにする、他の教科や隣接校種を取るなど、教員としての幅と力量アップにつながっている。

大学通信教育課程とは何か。また、通信教育課程を経て教員免許状を取得した方などの体験談をガイダンス資料として特集した。

社会人から教員へ夢叶う通信教育

大学通信教育課程 仕事と両立して免許状取得 上進、他校種・教科も可能
入学から卒業までの一例をフローチャート【取得できる教員免許状】

大学通信教育課程は、自学自習なので、社会に出てからも学びやすい。その気さえあれば、いつでもどこでも学べるシステムだ。取得できる教員普通免許状には、小・中・高・特別支援・幼稚園、養護、栄養の各教諭があり、それぞれ専修、1種、2種(高等学校教諭の免許状は、専修および1種)に分かれている。免許状の取得方法は、志望者の立場によって変わる。

ケース別にどのような道筋があるのかを、次に示した。

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【新たに教員免許状を取得したい】

最終学歴が高校卒業の場合か、他大学の卒業時点では教員免許状を取らず、これから取りたい場合が当てはまる。

高校卒業の場合は、希望する学校種の教員免許状が取得できる通信課程のある大学か短期大学を選び、学部・学科を決めて「正科生」として入学する。大学卒業の条件を整えると同時に、教職課程の必要科目を履修して、免許取得の所要資格を満たしておけば、卒業と同時に免許状が取得できる。

他大学の卒業時に教員免許状を取得していなかった場合は、その出身大学が通信課程での教職課程認定を受けていれば、不足する教職・教科専門科目を、通信課程に入って履修する。出身大学が通信課程認定を受けていない場合は、免許状が取得できる大学通信教育課程に編入学し、免許状取得に必要な教職課程の科目を全て履修登録する。

免許状取得には、教育実習を必ず行わなければならない。実習先は自ら探し、受け入れの内諾を得なければならない。

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【現在持っている免許状を上位の免許状に上進させたい】

中学校社会科2種免許状を1種免許状にしたい場合などが、この例に当たる。ただ、教員としての所定の現職経験年数が必要となる。不足していると上進はできないので、注意が必要だ。その上で、上位免許状取得に必要な科目と単位をそろえる。この場合は「科目等履修生」として学修するのが一般的。

上位免許状取得に必要な単位・科目は、授与権者である勤務地の都道府県教育委員会規則を確認し、指導を受ける必要がある。指導を受けずに自分だけで決めてしまうと、免許申請時に不適切な履修が指摘され、申請できない場合があるので注意しなければならない。

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教職経験者が免許状を取得する場合【現在持っている免許状を基に、同校種の他の教科の免許状を取得したい】

既に中学校社会科免許を所持している者が、中学校国語科免許などを取得したい場合が当てはまる。この場合は、必要な科目や単位を取れる大学・短期大学で、「正科生」または「科目等履修生」として単位を取得し、免許に必要な条件を満たせば、免許状を取得できる。

だが、中学校2種社会科を、中学校1種国語科にはできないので注意が必要。他教科を取るときは、現有免許状と同じ種か下の種の他教科となる。2種免許状を、他教科の1種免許状にはできない。

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【隣接校種免許状を取得したい】

今年度から、義務教育学校がスタートしている。また小中一貫校も増えている。こうした教育改革の動きを受け、各学校段階間の連携を強化するために、現有免許状校種の隣接校種免許状が取得できる。

前提として、普通免許状で少なくとも3年間の教職経験が必要。その間の勤務が、実務証明責任者に良好な勤務成績だったと証明されれば、必要な単位を修得し、隣接校種の教員免許状を取得できる。教職経験を評価するので、修得単位が軽減される。

例えば、幼稚園教諭普通免許状、中学校教諭普通免許状を有し、3年以上の実務経験があれば、小学校教諭2種免許状は13単位で取れる。同様に小学校教諭普通免許状、高等学校教諭普通免許状を有し、3年以上の実務経験があれば、中学校教諭2種免許状はそれぞれ14単位、9単位で取れる。

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【介護等体験】

小・中学校教諭の普通免許状を取得するには、社会福祉施設などで5日間、特別支援学校で2日間、計7日間の介護等体験が必要となる。

4月と10月の2期で入学を受け付けている通信教育課程では、入学時期によっては在籍期間が長くなる可能性があるので要注意。体験実施に際しては、大学で学生を取りまとめ、各都道府県の社会福祉協議会や教委に申請手続きをする。個人での介護等体験希望は受け入れが難しい。事前学習や、大学ごとに体験実施のための費用が設定されている。入学を希望する時点で、大学に詳細を確認しておく必要がある。

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【幼保連携型認定こども園】

近年、大学通信教育課程の活用が目立つのが、平成24年に創設された「幼保連携型認定こども園」の職員。学校教育と保育を一体的に提供する施設で、職員である「保育教諭」は、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を有するのが原則となっている。

しかし、両方を所持している人は少なく、円滑な移行を進めるために、5年間はいずれかを有していればよいとの経過措置がある。

5年間のうちに、所持していない方を取得すればよい。幼稚園教諭、保育士として3年間、4320時間以上の勤務経験者には、特例が設けられている。8単位を取得すれば、所持していない免許状が取れる。

この単位取得に、通信教育課程が有効活用できる。また保育士資格を取得できる専門学校に通いながら、通信教育で幼稚園教諭免許状を取得するといった志望者もいる。

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【大学通信教育で取得できる主な諸資格】

そのほか、大学通信教育では、学校図書館司書教諭、図書館司書、社会教育主事、博物館学芸員などの資格も取得できる。

詳細は(公財)私立大学通信教育協会サイト

文科省初等中等教育局教職員課教員免許企画室 長谷浩之室長に聞く

「多様な社会人経験は学校にとって貴重」

新学習指導要領への移行を前に、教員養成に関する政策にも変化が起きている。文科省初等中等教育局教職員課教員免許企画室の長谷浩之室長に、教育職員免許法の改正などに伴う教職課程の変化や、今後の学びの注意点、未来の学校教育を創る教員志望者への期待と励ましなどを聞いた。

――通信教育による教員免許状の取得状況は。

平成28年度に全国の短大、大学、大学院の通信教育課程で教員免許状を取得したのは4384人だった。学校種ごとの同免許状取得状況では、幼稚園免許が3976人で最多。続いて、小学校免許308人、高校免許168人などとなっている。

――今後の教員養成に関する施策と変化は。

27年12月の中教審答申を受け、28年11月に教育職員免許法の改正があった。改正点は、これまでのように教職課程の教科に関する科目と教職に関する科目に分けた単位数の設定をやめて、新たに教科および教職に関する科目に統合し、トータルで総単位数を示す区分にした。

同改正に続き、29年11月には、教育職員免許法施行規則の改正も実施。教職課程の省令上の科目区分も大くくり化した。大きな科目区分の中で、各大学の判断による教科専門の学びと指導法などを組み合わせた授業を行えるようにしている。併せて学校現場で必要な知識や技能を養えるよう教職課程の内容の充実を進めている。

新学習指導要領などを見据え、教職課程に新たに加わった内容は、▽特別支援教育の充実▽総合的な学習の時間の指導法▽カリキュラム・マネジメント▽チーム学校への対応――などになる。

幼稚園教諭の養成課程では、教科専門は幼稚園教育要領に準拠して健康、人間関係などに変わる。小学校教諭の免許状取得には、新たに外国語の指導法などが加わった。

実践力がある教員を養成するため、教育実習に加えて学校インターンシップを設けられるようにした。教員志望者に早期から学校の幅広い体験を積んでもらうのが狙い。2単位まで教育実習の単位と置き換えることができるようになる。

29年11月に作成した「教職課程コアカリキュラム」では、全大学の教職課程で共通的に修得する資質能力を明確化した。同カリキュラムは、教職課程での学びを通じて修得する目標を示している。各大学の教職課程の編成や、各教委などの教員採用での活用を期待している。

一連の法改正に基づく新たな教職課程は、31年度の4月に大学に入学する学生から開始する。教員志望者には新たな教職課程での学びに意欲的に取り組んでいただきたい。

――教員志望者への期待やエールは。

社会変化などに伴い、幼保連携型認定子ども園が増加している。そのため、今後、幼稚園教諭と保育士、双方の免許状を持つ人材が強く求められている点を指摘したい。

多様な社会人経験を持つ教員志望者は、これからの学校にとって貴重で、歓迎したい。

多くの教育課題に応えられる学校づくりを視野に、社会人経験がある教員の存在は大きな意味を持っている。

教員の仕事は大変な点もあるが、やりがいも大きい。文科省としても学校現場の多忙化などの課題を解消するために努力し、魅力ある教育環境を整えたい。

玉川大学 正科生3年次編入学
小学校1種免許状取得コース
社会人経験を積んでから教師に

北村 章裕

初めて教員の仕事を意識したのは小学校6年生の時。担任がとても素晴らしい方で、自分もあんな先生になってみたいと漠然と考えていました。

その思いが蘇ったのは、大学時代に中国に留学し、インターンシップで日本語教師の仕事を体験したときでした。

ただ、その時点で自分が「教える」仕事にふさわしい人間とは思えませんでした。

もっと世の中のことを知り、社会人としての経験を積んでからあらためて教員にチャレンジしようと考え、大学卒業後、海運会社、イベント運営会社などさまざまな仕事を通して世の中を捉える目を養いました。

そして30歳が近づいた時点で、玉川大学の通信教育課程に入学。ネットで調べてみると、「スクーリングの授業が面白い」「厳しいけれど知識が身につく」などの評判を目にして、「ここなら自分のためになるはずだ」と確信したからです。

その確信は当たりました。特にスクーリングは実に楽しく充実した学びの場です。かつて大学の100分授業を長く感じたことがウソのように先生の話に集中できます。

たとえば「国語科指導法」という授業では人前で話すことの意味や大切さについてあらためて考えさせられました。

教育実習で生かせることが多いと感じ、一言も聞き逃せないと思いました。また、グループワークやアクティブラーニングを取り入れた授業に「教育の玉川」の真価を感じています。

教育実習では、最初は子供たちとのコミュニケーションが少々カタくなりがちで戸惑いもありました。しかし、こちらから積極的に声をかけていくうちに徐々に打ち解けられたと思います。働きながらの学びは決して楽ではありません。

残りあと3科目。計画をしっかり立てて単位を取得し、一日も早く小学校の教壇に立てるように邁進します。

外部リンク:玉川大学通信教育課程

明星大学 通信教育部学士(教育学)
中・高校教諭免許状(英語)取得
仲間の存在が大きな助けになる

北川 葵

子どもの頃から英語が大好きで、中学・高校と留学を経験、アメリカの大学へ進学しました。長期休暇中に日本の塾で英語を教えたことがきっかけで、卒業後は帰国し教員になろうと決意。

ところが、教員になるには、日本の大学の教職課程の卒業が必須と知ったのです。一度はあきらめかけましたが、通信制なら2年間で実現可能と知り、教員採用試験の正規合格者数の多さや、充実したスクーリングなどを決め手に明星大学に入学しました。

最初は不安ばかりでしたが、スクーリングで出会った仲間の存在が大きな助けになりました。年齢も経験もさまざまでしたが、「同じ目標を持つ仲間」として切磋琢磨し、卒業した今でも情報交換をしています。

また、対策講座などの大学のサポートにも助けられ、2年半で教員免許状と学士(教育学)の学位を取得。さらには、東京都教員採用試験にも合格しました。

卒業後すぐに公立中学校の英語科教員となり、現在は1年生の担任を受け持っています。今でも生徒指導・生活指導で生徒と向き合う時に思い出すスクーリングがあります。

「学習の集大成となる科目」なのですが、グループワークでケーススタディを中心に展開していきました。そのケーススタディが現場で使えるものが多く、現在もそのスクーリングを思い出しながら生徒指導に当たることもあります。

教師は「なりたい」と強く願う者が就く仕事。私の場合、通信制という道があったからこそかなえられ、充実した毎日を過ごしています。今、教室で私が向かい合う生徒たちにも、それぞれ夢や好きなことがあります。

そんな子どもたち一人一人の目線に立ち、寄り添い、可能性を引き出して、全力で応援したい。そして、私も一緒に成長したい。それが今の私の新しい夢です。

外部リンク:明星大学通信教育部

佛教大学 通信教育課程
小学校・特別支援学校教諭免許状取得
特別支援学校の教員を目指して

辻本 有貴

学生時代に、中学・高校の教員免許状を取得し、幼稚園や小・中学校で、先生の仕事をサポートするスクールサポーターをしていました。

その際、特別支援学級に関わることが多かったのですが、私は専門的に勉強したことが無かったため、対応は手探り状態に。日を追うごとにきちんと勉強したいという思いが募り、佛教大学の通信教育課程で学び直すことを決意しました。

直接指導を受けられるスクーリングでは、仕事をしながら抱えていた疑問や不安が一つずつ解消できていくのを実感しました。また、先生方は自らの教員経験を踏まえて指導してくださり、専門知識はもちろん、現場で役立つ実践的なスキルやノウハウも養えました。

特に学びたかった特別支援学級の子どもたちの接し方については、さまざまなアプローチの仕方を習得できました。丁寧な指導で、きちんと理解が深められたことがうれしかったです。

大学卒業してすぐの方から、私のような社会人経験者、さらには実際に現役で教員として働いている方まで、さまざまな人との出会いがあり、たくさんの刺激をもらえました。励まし合える仲間の存在は、モチベーションを高く保つ上で大切な支えになったように思います。

3年間佛教大学で学び、念願だった小学校と特別支援学校の教員免許状を取得し、現在は奈良県内の小学校に勤めています。夢が叶ってうれしいですし、やればできる! という大きな自信も得られました。

これからは子どもたち一人一人に寄り添い、どうすればその子らしく生きていけるのかを考え、サポートしていきたいと思います。

また、特別な支援を必要としている子どもたちが、一般学級の子どもたちと隔たりなく一緒に学校生活を送れる環境も整えていきたいです。

外部リンク:佛教大学通信教育課程