自治体と連携し、効率よく教育の情報化を進めて行くためのポイント

千葉県柏市教育委員会教育専門アドバイザー 西田 光昭

2020年度から小学校で、中学校ではその翌年度から、新学習指導要領が実施されます。今回の学習指導要領の改訂では、英語の教科化、道徳の教科化、授業時数の増加など多くの話題があり、プログラミング教育が始まることも関心を集めています。授業時数の確保も大切ですし、英語、道徳、プログラミングなど、指導内容の検討とその準備も大切です。しかし、今回の学習指導要領では、中央教育審議会においてその検討の過程が公開されていますので、目指すところを踏まえて、教育の情報化を進めていく必要があります。

【参考資料・PDF】

■培う資質・能力

子供たちが活躍する世界は、今までよりも情報の持つ価値が増し、AIやロボットなどシステムに任せることと人がしなくてはならないことを区別し、一人一人が働く世代として活躍することが期待されています。というよりは、そうならないと世の中が成り立ちません。学習指導要領の総則では「一人一人が持続可能な社会の担い手として、その多様性を原動力とし、質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待される」とされ、

・基礎的リテラシー(何を知っているか何ができるか)

・認知スキル(知っていることできることをどう使うか)

・社会スキル(どのように社会、世界と関わり、よりよい人生を送るか)

――の3つの視点から、育成すべき資質・能力が整理されています。

そして、学習指導要領の総則では情報活用能力が、言語能力、問題発見能力と並んで学習の基盤となる資質・能力として位置付けられ、その育成を教科横断的な視点に基づき育成するために、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が求められているのです。

■学習指導要領の実現に向けて

学習指導要領は、全国のどの地域でも、一定の水準の教育を受けられるようにするために、学校教育法等に基づき定められた、教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準です。しかし、自治体では現実的な課題が多岐にわたり、限られた予算の中で、教育の情報化も取り組みもその一つとして進められていきます。ですから、必要だといっても教育の情報化は進められません。できないことを嘆いても、指摘してもそれだけではできないのです。

■目指す方向性を決める

教育を巡っては多様な立場や意見があり、教育の情報化についても同様です。それを調整し方向性を持たせるよりどころが「学習指導要領」です。そして、その具体化に向けて「教育の情報化加速化プラン」が示され、「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について」という指針が示されています。これらを踏まえて、これからの子供たちを育てるために、どのような取り組みを進めるのかを、自治体で計画を立てる必要があります。そのとき、どこから取り組むかが、2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会で示された、普通教室におけるICT環境整備のステップのイメージです。

Stage.1 各教室に大きく見せる装置を常設する
Stage.2 グループにPC1台程度の環境でICTを活用した授業ができる環境をつくる
Stage.3 1日に1時間程度はICTを活用した授業ができる環境をつくる
Stage.4 一人1台のPCを常時活用できる環境をつくる

各ステージも多様ですが、段階を追うことで、教師も子供も無理なく学習での活用ができるようになることが大切です。

■優先順位をつけ、段階的に整備する

予算があり、活用する授業づくりが進んでいれば、一気に進めることもできますが、多くの場合は段階的に進めることになります。大切なのはバランスです。一部だけに力を注いでも、十分な成果は得られません。予算の制約から段階的に行う場合でも、計画的に、全体のバランスが取れるようにして進めなくてはなりません。

セキュリティポリシーガイドラインが示され、セキュリティーの確保に向けた取り組みが進む自治体もありますが、これも活用と安全とのバランスです。守らなくてはならない項目をきちんと守ることと、学習の中での情報やICTの活用の両面をバランスよく進めて行くことが必要です。

教育の情報化を効率よく進めるためには、自治体とその目的を明確にして共有し、具体的な段階を計画的に、バランスを考えて進めていくことが大切です。