英語科指導者用デジタル教科書で「話す」「聞く」活動をスムーズに

東京都町田市立堺中学校

教育の情報化を推進するため学校のICT環境の充実に取り組む東京都町田市では、2017年度に市内2校をICT活用教育推進モデル校に指定し、教員に1人1台、児童生徒には40台タブレット端末(Chromebook)を配布し実践研究を進めている。21年度までに市内全小中学校に順次配布予定だという。モデル校の東京都町田市立堺中学校(大石龍校長、生徒数586人)では、18年4月に指導者用デジタル教科書(以下デジタル教科書)を英語科、数学科で導入。特に、英語科では日常的かつ効果的に活用している。

フラッシュカード機能などを使って理解度を深める
■「繰り返せる」デジタル教科書の強みを生かした授業

田中美穂主任教諭の2年生英語科の授業では、教科書本文の学習においてデジタル教科書(東京書籍(株))が効果的に活用されていた。これは、いつも通りの授業風景である。

前半は前時の振り返りと宿題を活用した理解度の確認を行う。単語、熟語、アクセントの確認にはフラッシュカード機能を使い、ランダムに掲出したり、スピードを変えたりして難易度を調整し知識の定着を図っていく。教科書で扱われた比較級の重要表現に関しては、デジタル教科書内の練習問題を活用して理解を深めた。

教科書本文の学習では、まず生徒に英文音声を聞かせる。次にプロジェクターを使って、ホワイトシートにデジタル教科書の文面を映し出し、音声速度に合わせて読んでいる箇所の文章が色づけされる機能を活用し、音声スピードを落とし文面を追いながら生徒に音読させた。主語や指示語が何を指しているか確認しながら音読するので、あらすじを読み取る力の育成につながっている。

訳文の学習では、デジタル教科書の文中の重要表現をホワイトシート上に映し出し、線を引いたり、囲ったりしながら日本語訳を生徒にさせていく。文章構造が視覚化されるので、意味や用法に関する理解が深まる効果が高いという。

まとめでは、デジタル教科書に示された、さまざまなポイントや要点に留意しながら音読を行った。音声スピードを上げたり、オーバーラッピング(英語の音声に合わせて自分も発声する方法)させたり、センテンスごとに読み手の役割を変えるなどして、繰り返し音読させた。

■授業の状況に応じ機能を有効活用できる

授業を行った田中主任教諭はデジタル教科書の活用について、「アクティビティ以外の時は、使うケースが多い。生徒が前を向いて授業を受けるようになった。授業の状況に応じて機能を使い分けできる点や視覚化できる点も大きい。理解に時間がかかる生徒に対しては、ポイントを視覚的に示すことが効果的だ。デジタル教科書の強みは『繰り返せる』こと。休み時間に教科書本文をあらかじめ黒板に書くなどという準備作業の負担が軽減された」と利点を語っていた。

■ICT活用教育推進モデル校として
重要表現をホワイトシート上に映し出す

デジタル教科書の導入に関し大石校長は、「焦点化、視覚化しやすい利点を感じ、導入した。イメージが湧きやすく1点に集中し理解を深める手助けとなっている」と話す。

同校は17年度に町田市のICT活用教育推進モデル校に指定。タブレット端末(Chromebook)40台、実物投影機(全学級に1台/全16台)、普通教室の黒板上に設置された短焦点プロジェクターなど、ICTを授業内外で積極的に活用している。

教員間においても学期に3~4回は集まり、ICTの効果的な活用方法を話し合ったり、情報の共有を行ったりしている。

ICT活用による生徒の変化に関し大石校長は「映像や画像の利用が増え何事もイメージしやすくなったおかげで、不明点を話し合ったり、クローズアップして焦点化したりすることで深く物事を見るようになりコミュニケーション能力が高まった。タブレット端末1人1台環境が整備された際には、生徒によるプレゼンテーションなどの発表活動をより積極的にさせたい」と手応えと目標を語った。

また、大石校長は「今後、授業の形式は確実に変わる。教員間ではデジタル教科書やICT活用が常態化することで、過去の経験を生かせる状況にもなると思う。ただ、教育において『書く活動』は生徒や教師にとって重要である。書く活動を成立させる板書やノートの存在意義は大きい。不易流行という考えも大切で、デジタルとアナログの良い点をお互いに生かしていきたい」と今後の抱負を述べた。