次世代学校支援モデル構築事業 校務系と学習系の連携

大阪市教育委員会事務局 学校園ICTシニアアドバイザー 山本 圭作

■次世代学校支援システムの在り方を構想

文科省は2016年2月、「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」を設置した。教育の情報化に関する施策の検討を行うとともに、第3期教育振興基本計画および次期学習指導要領改訂も視野に入れた検討を行うことが目的。

主な検討事項の一つは、データの効果的活用を通じて、個に応じた学習指導と学級・学校経営を支援する「スマートスクール(仮称)」構想に向けた方策であった。同年7月28日の最終まとめでは、「授業・学習システムと堅牢な校務支援システムを連携させることにより、学習記録データ等を蓄積・分析し、学級・学校経営の見える化を推進。このことにより、教員の業務負担の軽減と教育の質の向上を目指す」とした。

同省は懇談会の最終まとめを受けて、17年度に新規事業として「次世代学校支援モデル構築事業」を予算化し実証事業化を図り全国に公募した。

大阪市は、2013年度から校務支援ICT活用事業に取り組み、教員の校務負担の軽減を進め、15年度からは活用研究校を中心とした教育の質の向上に向けた施策を図ってきた。教育ICT活用事業では小中学校(422校)に学習用タブレットの整備と、それを安全かつ有効に活用するための学習用プラットホームを構築し、児童生徒が学習系ソフトを利用できる環境を整えてきた。

本実証事業に参画するに際し、これまでの校務支援ICT活用事業の実績を踏まえ、セキュリティーと個人情報を担保しつつ連携方法等に関する実証研究を行う中で、学校に校務・学習系データを組み合わせた児童生徒個人カルテをダッシュボードとして提供し、教員や管理職の業務負担の軽減と指導力の向上および学級・学校経営の効率化と教育の質の向上を図る次世代学校支援システムの在り方を構想した。

■エビデンスの見える化を実現し学校・学級経営の深化を図る

文科省へ提出する事業計画書を策定するに際し、「データ活用に対する期待や要望」について47回の学校訪問によるヒアリングを実施し113個の要望を収集した。これらの要望を、①学力・体力の向上②安全・安心な学校③学校経営を支援する教育施策の企画立案――とデータ活用のテーマを三つの柱に整理した。

実証校は小学校3校、中学校2校の5校とし、学習システムの実証は、小学校では凸版印刷の「やるKey」、中学校では大日本印刷の「リアテンダント」を採用、統合型校務支援システムからはEDUCOMの「C4th」のデータを活用。実証事業総体については日本電気株式会社が事業統括を行うとした。これら学習系データと校務系データを連携しダッシュボードで児童生徒ボード・担任ボード・管理職ボードとして教育情報を提供していくものである。

ポイントは、次の三つ。

①学習系データの取得と分析

単元ドリル、小テスト・単元テスト、定期テストの結果と、校務系システムの成績情報や日常所見を組み合わせ、児童生徒の理解度の把握を目指す。学習系システムで取得される日々の充実度や授業理解度と校務系システムの日常所見と組み合わせ、児童生徒理解の深化を目指す。

②セキュリティーを確保した学習、校務、行政データの連携

本市が運用する統合型校務支援システムと学習系システム間のデータ連携、データ分析およびダッシュボードによるポータル表示を構築する。

③学級、学校経営に資するデータの提供

ダッシュボードのポイントは、マネジメント改革。学級・学校経営において、教員が、校長が、どういう課題認識を持っていて、そのためにどのようなデータを必要としているかを検証する。

実証事業2年目を迎え、実証校に児童生徒ボードと学級ボードの提供を行った。

システム改良に向けた視点では、データ入力負荷軽減策はあるのか、使いやすいユーザーインターフェースか、ダッシュボードの提供データでの表示項目は妥当か、また誤った児童生徒理解に誘導していないかなど、情報の提供者としての責任は重い。次年度に向けて、より実践的なデータ活用を実証できるようシステムとデータの充実を急いでいる。

本実証事業では、校務情報と学習記録を結び、学びの可視化を通して教育の質の向上と学校経営の高度化を図ることになり、情報セキュリティー基盤を確保した次世代の統合型校務支援システムは学校の運営基盤を変えることになると期待している。