見方・考え方の育成のポイントを学ぶ JEES教育シンポジウム

若手教師にアドバイス

NPO法人全国初等教育研究会(JEES、理事長・堀田龍也東北大学大学院教授)の主催で、(株)教育同人社が協力する第7回JEES教育シンポジウムが7月21日に都内で開催された。

シンポジウムの様子

「カリスマ先生の公開授業から『見方・考え方』の育成ポイントを学ぶ」をテーマに公開授業とその解説とリフレクションが行われ、若手教師に具体的なアドバイスを行った。

授業は、筑波大学附属小学校の児童(5年生)の協力のもと、社会を佐藤正寿東北学院大学文学部教育学科教授が、算数を盛山隆雄筑波大学附属小学校教諭が行った。

【社会】単元/「食料生産を支える人々、これからの食料生産」

目標は、食料に関わる資料から食料の輸入が増えた理由を話し合い、これからの食料生産について調べようとする意欲を持たせること。

「日本にはどれくらいの食料が輸入されているのか」について教科書の食料輸入額や食料自給率に関わる資料等を中心に調べさせ、食料の輸入額が増え、食料自給率が下がってきた理由について話し合う。

話し合いの中で気がついた理由(交通の発達、冷凍技術の進歩、輸入の自由化、国民の食生活の変化など)を踏まえ、食料輸入額増加、自給率減少に対する児童の考えを引き出し話し合う。

そして、世論調査の結果をもとに、人々が心配に思っていることを話し合い、食料生産は国民生活にとって欠かせない問題であることに気付かせる。

【全員参加型の授業を心掛ける】

佐藤教授は、「授業では、若手教師が対応できる『教科書中心型の授業』で『日頃の教科書教材をどのように使うか』ということを念頭に、『教科書の資料を扱う際に、事実認識(理由と根拠)と子供たちの社会的価値観(わかること、思ったこと)にかかわるところを意図する発問にした』『価値観の対立を想定した授業づくりをした』の2点に留意した。

佐藤正寿教授

教科書の本文を読みこなすことで、子供たちの価値観がぶつかり合い、深い学びへ誘い、『見方・考え方』の育成につながる」と授業の狙いについて述べた。

その上で、授業のポイントについて、「全員参加型の展開を意識すること。挙手している児童だけに対応していると、他の児童には『参加しなくてもいいんだ』と受け取られかねないし、教師にとって都合の良い発言だけを取り上げる傾向になる。また、教科書内の資料の扱いについては、『この資料は何を意図しているのか』を読み取らせるようにすること。資料には考えを深めるのに必要な資料やワンポイントで使う資料がある。その違いをしっかりと見極めること」と指摘した。

【算数】単元「整数の性質」/題材「和が□になる場所はどこかな?」

【図】のような数表がある。2つの数が入る長方形の枠を用意して、「和が□の場所に、この枠を置いてみよう」という問題を出す。

例えば、和が91の場所は45と46のところ。このときの場所の見つけ方は、92÷2=46、46-1=45だから45と46。90÷2=45、45+1=46だから45と46。数表は連続する整数が並ぶので、横には1ずつ増えている。だからいったん2つの数を同じ数とみなし、割り算を用いて一方の数を導く方法がある。

次の段階は、□を偶数にするケース。例えば□=66の場合。先程の考えを適用して、66+1=67、67÷2=?わりきれない。

しかし、数表をよく見ると28+38=66で、縦に注目をおけばよいことがわかる。では、□=64はどうか。横の時の考えを使えば、数表が縦に10ずつ増えていることに気が付く。64-10=54、54÷2=27だから27+37=64となる。

児童は□=奇数の場合は横。□=偶数の場合は縦となることに気が付き、奇数+偶数=奇数、奇数+奇数=偶数、偶数+偶数=偶数という性質を理解する。

【試行錯誤に寄り添う】
盛山隆雄教諭

盛山教諭は、「授業で一番大切にしていることは、子供たちが能動的かつ前向きに学ぶこと。教師が与える課題を乗り越えて自分で課題を作ってくれるようなことを期待しながら取り組んでいる。授業で最初に取り上げようと思っていたことは『児童の試行錯誤するような考え』である。この気持ちを優先することだった」と授業の狙いについて述べた。

授業のポイントについては、「試行錯誤する児童に寄り添うプロセスをふむことで安心させてあげること。それが算数の見方・考え方の育成のポイントである。そうすると一つの考えを吟味することを始める。終始、教師の説明だけで完結する授業ではなく、教師は子供たちの考えを整理し説明してあげる役割を担うことが大切である」と指摘した。